報道に対する「合法的統制強化」
Japan In-depth / 2016年3月3日 19時0分
■2月24日
TBS社長の武田信二氏が、記者会見で高市大臣の発言を批判。
■2月29日
田原総一朗氏、鳥越俊太郎氏、大谷昭宏氏、金平茂紀氏、岸井成格氏、田勢康弘氏、青木理氏らジャーナリストが、高市大臣の発言に対する抗議記者会見を開催。報道の萎縮に対する懸念を表明。
これらの一連のやり取りを踏まえて、報道の自由が脅かされているのかどうか議論がなされている。法解釈の字面だけを追うと、確かに従来と大きな変化はなく、「脅かされているか否か」という問いはともすれば主観に依存しかねない議論になってしまう。
そこで幾つか補助線を引いてみることにしたい。まず、日本の報道姿勢が、国外からどのように評価されているのか、その変化に注目してみることにしよう。
1985年に設立された、報道の自由を擁護、評価している世界的なNGO「国境なき記者団」の「世界報道自由度ランキング」で、日本は、2015年には過去最低の61位を記録している。2011年の東日本大震災と福島第一原発事故をきっかけに、2012年は22位、2013年53位、2014年には59位と低迷してきたが、2015年にワーストを記録している。
確かに世界報道自由度ランキングの評価方法についても一定の傾向があるが、民主党政権の時代から、第2次安倍内閣までほぼ一貫して順位を下げていることに留意すれば、この尺度をもってするとその過程で生じたメディア・イベント、とくにメディアと政治をめぐってのメディア・イベントが、日本の報道の自由を引き下げるものであると対外的に評価されていることは明らかである。
また報道の自由について、第4条の解釈、とくに政治的公平性と報道が事実を曲げないことという点の解釈をめぐって、議論がなされている。しかし、そもそも放送法の目的を記した、第1条には、以下のように、「表現の自由を確保すること」、「放送が民主主義の発達に資すること」などに言及がなされていることに留意したい。
(目的)
第1条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
(以上、「放送法」より引用)
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