増える乳がん・子宮頸がんを防げ 超党派議連1周年
Japan In-depth / 2016年3月8日 7時0分
日本医療政策機構による「働く女性の健康増進調査」(2016)によると、婦人科系疾患を抱える働く女性の年間医療費支出と生産性損失の合計が6.37兆円に上ることが明らかになった。機構は、婦人科や検診受診率の向上と、教育・普及啓発の充実、健康経営(注1)の促進の3つを今後の課題として挙げた。
今回、会場となった参議院議員会館には乳がんと子宮頸がんの検診車各1台が用意され、国会議員とその秘書ら30名近くが検診を受けた。議員連盟の代表である野田聖子議員は「女性の活躍という言葉が躍っているが、活躍以前に女性の健康だ。(移動検診車による検診は)毎年やればもっと受診に来てくれるようになる。(議員や秘書だけでなく)国会に勤めている人なども受診すればよい。」と述べ、移動式検診車によって検診を受ける人が増えることに期待を寄せた。
議連では「乳がん・子宮頸がん検診に関する意識調査」を行ったが、有効回答率は712名中59名(男性33名 女性26名)、「議員自身、もしくはご家族が定期的に乳がん・子宮頸がん検診を受けているか?」との質問に27%が「いいえ」と答えた他、「日本の検診受診率が先進国最低レベルの約4割だと知っていたか?」との質問に「いいえ」との回答が19%あったことなどを見ると、議員の間でもまだ理解が不十分であることがわかる。
議連の副会長 伊東信久議員は、回答者から、学校教育で啓発カリキュラムを設ける、生活スタイルに即して土日や仕事帰りに検診が可能な医療機関を増やす、受診インセンティブの導入を検討する、などの意見が出たという。
多くの議員が関心を持ち、超党派の議連が出来たことは評価に値するが、子宮頸がんワクチンについては広く世界各国で接種されているにもかかわらず、日本ではワクチンによる副反応問題を大きくメディアが取り上げたこともあり、厚労省は2013年から積極的な勧奨を見合わせている。その結果、現在、接種率はほとんどゼロに近いレベルにまで下がっている。
こうした現状に対し2015年12月17日に出されたWHO(世界保健機構)の「ワクチンの安全性に関する諮問委員会」による「HPVワクチンの安全性に関する声明」は、「(ワクチン接種を再開しないことで日本の)若い女性が本来防ぐことが出来るHPVによるがんになりやすい状況に置かれている。当委員会が既に指摘している通り、弱いエビデンスに基づく政策決定により安全で有効なワクチンが使用されなければ、実質的な被害が起こるであろう」と指摘している。(注2)
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