ショーンK問題に見るテレビの責任
Japan In-depth / 2016年3月17日 12時0分
一方、日々のニュースに関して呼ばれるコメンテーターについては、上記のようなことは言っていられない。何しろニュースは待ってくれない。あらゆるニュースが飛び込んでくる。そのニュースに関してコメントしてくれる人は誰なのか、担当ディレクターは電話をかけまくったり、ネットで検索しまくったりして、人を探すのだ。必死である。なにせ時間との勝負なのだ。見つかりませんでした、は許されない。時には社内の専門記者や解説委員にアドバイスを仰いだりする。一見の人を呼ぶより、社内の人間の“お墨付き”がある方が安心だし、パイプがあれば出演交渉もスムーズになるからだ。
さて、話をショーンK氏に戻そう。彼がどのような経緯でレギュラーコメンテーターに選ばれたのか小生は知らない。気づいたときはいつの間にか画面の常連になっていた。正直、知名度がある人ではなかったので、初めて彼を見た時は「誰?」という素朴な疑問を抱いたのは事実だ。番組として、他の情報番組の常連ではない、斬新でユニークな人を選ぼう、という意思が番組内で働いたものと思われる。
そうした時には、プロデューサーの声が大きい。何といっても番組のヒトモノカネを握っている権力者のわけで、彼がNoといったものはNoだし、YesといったものはYesなのだ。したがって、学歴・経歴詐称を行った人間をレギュラーコメンテーターに決定した責任は番組プロデューサーにある、と私は考える。
次の読者の疑問は、「コメンテーターの経歴は調べないのか?」というものだろう。答えは、Noだ。自己申告、もしくはネット上の情報以外に独自にその人の経歴を洗い直すことは通常しない。ある意味性善説にのっとっていると言ってもいいだろう。実は小生も経験がある。自分の担当する番組で準レギュラーとしてとある識者を推薦したのだ。立派な肩書・経歴だったし、疑う余地はなかった。当然、誰も異を唱えることはなかったし、プロデューサー含め反対はなかった。その人物のコメントは切れ味も鋭く、なるほど、と思うものが多かった。期待以上の仕事をしてくれたのだ。しかし、しばらくして突然、その人物の学歴詐称問題がネット上に出現した。結局、編集会議でその人物の出演は見合わせることを決定した。テレビに出るコメンテーターの学歴・経歴についてはこれまで精査されてこなかったのだ。自分も含め、この点は大いに反省しなければならないし、システムそのものを見直さなければいけない、と思う。
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