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商社マンからスポーツ心理博士へ セカンドキャリア番外編

Japan In-depth / 2016年5月2日 23時0分

ピンチをチャンスに


桐蔭学園ラグビー部も、10年連続の全国大会出場を逃した時に、声をかけられた。慶應の準硬式野球部からも、同部が春のリーグ戦で東京大学に敗れ、迷走していた時に招聘され、秋のリーグには優勝に導いた。しかも、同チーム部員を、就活でも内定者商社5人、テレビ局2人と、人格形成の面でも寄与することに。


布施の元にやってくるのは、苦しい局面の組織が多い。それは、組織だけでなく、セカンドキャリアを目指す個人も、しかりだ。


「スポーツ心理学のジャンルは、まだまだ仕事として固まっていない。私のところには、スポーツトレーナーやカウンセラーと思ってやって来る人も少なくない」


元プロ野球選手なども、布施の元で学びたいと足を運んで来る。 「彼には、まずはしっかり大学に入り直して、必要な勉強をしてから来なさいと、言ってあります。アントレプランナーとしての力はあるので、後はしっかり学んで行くこと」と、励ます。


学ぶことの重要性を布施が説くのには、訳がある。 アメリカでの博士号取得までの経験もそうだが、常に学ぶことで、自分の人生の局面を乗り越えてきたからだ。


布施は学生時代は、野球に打ち込んでいた。


早稲田実業高校時代は、甲子園で準優勝経験がある。が、そのまま早稲田大学には進まなかった。「何となく、感覚的なもの」としか明かさないが、ライバル校である慶大の野球部を目指した。高校3年生の夏まで野球漬けだったから、必死に勉強した。ほとんどの人間が内部進学する中での受験勉強は、辛かった。持ち前の『何とかなる』の前向きさで、一浪の末、見事慶大入学を果たした。野球部でも活躍し、リーグ無敗優勝でストッキングに2本目の線を入れ、明治神宮大会のタイトルも取った。


布施は常に苦しい時、逆境にある時、前向きに学び、現在の立場を獲得するに至った。


だからこそ、易きに流れる若者には、学びの重要性を説く。言葉の重みは、自らの体験が裏付ける。


セカンドキャリアを踏み出すには、相当な覚悟と努力が必要だとも。(文中敬称略)


【布施 努プロフィール】


(株)Tsutomu FUSE,PhD Sport Psychology Services 代表取締役。 慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。NPO法人ライフスキル育成協会代表。


ノースカロライナ大学グリーンズボロ校大学院博士号取得(スポーツ心理学)、スポーツ心理学博士。


最先端のスポーツ心理学を基本にした、組織・チーム作り、パフォーマンス向上などを手掛ける。JR東日本野球部などのスポーツチーム(記事参照)、トーマツ、伊藤忠商事などの企業で幅広く、組織作りの指導を行っている。


著書「勝ち続ける組織の法則」(ゴルフダイジェスト社)、「ホイッスル!勝利学」(集英社)、「スポーツ精神医学」(診断と治療社・分担執筆)、「実践例から学ぶ競技力アップのスポーツカウンセリング」(大修館書店・共訳)


トップ画像:布施の斬新な講義に、選手たちも熱心に耳を傾ける。©神津伸子

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