HPVワクチン副反応の診断基準は単なる仮説
Japan In-depth / 2016年6月4日 18時0分
久住英二(医療法人社団鉄医会理事長)
2016年6月1日、パシフィコ横浜にて開催された第19回国際細胞学会議にて信州大の池田修一教授の講演を拝聴しました。
題は“Neurological manifestations following HPV vaccine immunization.”
日本語にすると、HPVワクチン接種後に出現する神経学的兆候、でしょうか。内容は、先の厚労省の研究班発表会で発表されたものと同様。ただしメディアで大きく取り上げられた HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)との関連については、全く触れられていませんでした。
講演の概要
3年間の同様症状の患者の診療経験から、独自の診断基準を作成し、診断した。2013年6月から2016年3月末までに受診した123人のうち、ほかの疾患(全身性エリテマトーデス、てんかん)と診断したものが 25人で、98人を“Probable HPV vaccine related”と診断した。年齢は13〜36歳で、接種から発病までの期間は平均10.8±12.3ヶ月。症状は頭痛、筋力低下、歩行困難、そして学校に行けないなどであった。
頭痛、全身倦怠感、起立性低血圧、四肢の疼痛などの症状は、不正確な診断、不十分な治療、学校生活での何らかのストレスが精神的不安定さを引き起こし、パニック発作の原因となっている可能性がある。
短い文章が記憶できない、簡単な計算ができない、など高次脳機能障害も引き起こされている。中には親が娘をして“She become strange foolish”と形容するような実例があった。
治療は、ステロイドパルス療法や、免疫グロブリン大量注射、アルツハイマー病治療薬を用いた。
問題点1:診断の誤り
『独自の診断基準に基づいて診断した』とのことであるので、私は「診断基準はどのような科学的根拠に基づくのか?」と質問しました。
池田氏の返答には、科学的根拠についての説明はありませんでした。それは診断基準が仮説に過ぎず、科学的吟味を受けていないことを意味するのでしょう。その代わり、氏は‘We have no direct relationship between HPVV and the development of these symptom’、=「ワクチンと症状との直接の因果関係は不明」と返答しました。
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