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ソウル女性刺殺事件とミソジニー論争

Japan In-depth / 2016年7月7日 10時59分

ソウル女性刺殺事件とミソジニー論争

李受玟(イ・スミン/韓国大手経済誌記者)

 

2016年5月20日午前7時、ソウルの最大の繁華街、江南大路(カンナムデロ)。東京渋谷駅のハチ公像のように江南大路を象徴する江南(カンナム)駅の10番出口に数千枚のポスト·イットが貼られていた。近所のオフィスで働いている会社員から近くの住民まで、性別を問わず多くの人々が「(あなたを)守ることができなくてごめんね」とポスト·イットに書いていた。

 彼らがそこに集まった理由は5月18日、午前1時に江南駅周辺のあるカラオケのトイレで全く知らない男性である金(34)の刀に数回刺されて死亡した20代の女性のためだった。

 現場で警察に逮捕された金は被害者を殺した理由について「女性たちから無視されて犯行を犯した」、「被害者は知らない人だ」と話した。事件が発生した直後、韓国メディアはこの事件を『江南カラオケ殺人事件』と命名して簡単に報じた。しかし警察の公式発表で金が男女共用トイレで1時間以上身を隠して、6人の男性の後、7番目に入って来た女性を狙ったという事実が確実になり、事件は「単なる殺人事件」から「女嫌い(misogyny:ミソジニー、女性嫌悪・女性蔑視)殺人」という見方に流れ始めた。

 「女嫌い殺人」とこの事件を規定しようとする声は19~20日の間に、ツイッターなどで始まった追慕の動きからスタートした。 被害者が犠牲となった現場であるカラオケのトイレの代わりに、カンナムを象徴する駅の出口に集まり追慕しようとする意見もここから出た。

 この事件は特に若い女性たちの共感を引き出し、韓国の人々から注目されるようになった。死亡した女性と同年の女性らは「事件が起きたその日、その時間に、そこに私がいたと思ったら、きっと殺されていたはずだ」という。そして多くの女性らは、刀を振り回した金が長時間トイレに入ってくる女性を待ち伏せしていたということで、もっと恐怖を覚える、と説明した。

 実際、筆者が江南大路の追悼サイトで会った28歳の会社員A氏は「遅い夜に電車やバスに乗って家に帰る時さえ、セクハラや性的暴行の脅威に悩まされなければならなかった経験を思い出し苦しかった」と答えた。

 江南駅の出口にポストイットを貼っていた女性B氏は、「それにもかかわらず短いスカートをはくのは止めない、夜遅く出かけるのだ。」と性別のせいで行動の自由を制限されることは不当だと叫んだ。

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