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心を蝕む“難民・移民”に対する不寛容さ

Japan In-depth / 2016年7月26日 23時0分

そういったほのぼのとしたイラン人の親子達の横には他のフランス人親子もいたが、5歳くらいであろう子供が川に入ってズボンをぬらしたものだから母親が怒り、耳をねじってお仕置きしている。その姿は、イラン人親子達とはとても対照的な光景に見えたものだ。


難民の男性に仕事は何をしているのか、なぜこの町に来たなどと質問をしてみた。彼は普段はサンドイッチ屋さんをやっていると言う。警備の研修を受け民間企業にも入っており、花火大会などのお祭りになると警察だけでは人手が足りないので彼も警備にかり出されるそうだ。今後フランス国籍が取れればフランスの警察に就職することも可能だと説明してくれた。しかし、この町に来たのは行政の指示で自分の意志ではないと言う。


「パリは人口が密集しているから分散のために地方に行けと言われたんだ。でも、ここはいつものんびりしていて仕事があまりない。この地域ではフランス人だって仕事がないのだから文句も言えないが、収入が少ない今のままではいずれ貯金が無くなり生活もままならなくなる。僕は家族を養っていかなくていけないから、もう少ししたらパリに行って仕事を探そうと思う。パリには仕事が選べるぐらいたくさんあるから、ここよりももっと生活は楽になるだろう。最初は単身でパリに行って引っ越し資金として100万円貯めて家族を呼び寄せたい。」


3年しかフランスに住んでいないのにもかかわらず、あまりのフランス語の流暢さにびっくりした。アクセントもほとんどなく、すらすらとフランス語を話すのだ。イランに居る時からフランス語を習っていたのかと聞いたところ、フランスに来る前にはフランス語を勉強したことはなく、こちらで4カ月間習っただけだそうだ。でも家族のために病院や役所といろんなことをしなくてはいけないため「しゃべれない」と言う選択肢は無かったと言う。


奥さんはペラペラと言えないまでも、大抵のことは問題なく話す。レイバンのサングラスをかけ、身なりも白のミニのレースのワンピースを着てとても上品にまとまっており、スカーフなどはかぶってない。彼女はこう言う。


「イランはお金持ちの国なのよ。だからイランにアフガニスタンの人が出稼ぎに来ている。私達はああいったアフガニスタン人とは違うわ。」


よくアラブと一言で片付けられることが多いが、当たり前の事なのだが複数の国に分かれており、それぞれの国ごとに事情も違っている。そして自国を思うプライドは日本人やフランス人のそれと何も変わりはないことが感じ取れた。


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