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ASEAN分断図る中国、露骨な金権・恩義外交

Japan In-depth / 2016年8月1日 18時0分

カンボジアでは主要国道の延伸プロジェクト、海浜リゾートの開発(38億ドル)、ダム建設計画(2億8000万ドル)などの中国関係の巨大プロジェクトが進められ、多額の資金、資本が流れ込んでおり、カンボジア経済を支えているという現実がある。


今回のASEAN会議の直前、7月15日にアジア欧州会議(ASEM)出席のためモンゴルを訪れたフンセン・カンボジア首相は中国の李克強首相と会談した。この会談でフンセン首相が南シナ海問題で中国の立場への理解と支持を表明、中国は“見返り”として6億ドル(約629億円)の経済支援を約束したという。長年国王を世話した中国の恩義と6億ドルの経済支援の約束こそが、ASEAN会議でのカンボジアの「孤立無援」を支える原動力だった。


中国の開発途上国への「経済支援外交」「札束攻勢」は常とう手段だが、カンボジアにはさらに歴史の恩人として中国に払う敬意という「楔(くさび)」が背景に存在していることを理解しなければならない。


■ASEANの在り方見直し論も


ベトナムを訪れた中国人が入国審査で旅券を提示したところ、中国旅券の中の「九段線」が描かれたページにベトナム人入国管理官がいたずら書きをして返却した。中国人ガイドがベトナムの寺院を訪れた中国人団体観光客に対し「14世紀にはベトナムは中国の一部、全てのベトナム文化は中国が教えたもの」と説明し、海岸近くでは海をさして「この南シナ海は中国領です」と話し、中国語の説明のため周囲のベトナム人は理解できずに微笑んでいるだけ。


南シナ海の南端近くに位置するインドネシア領ナツナ諸島には、付近のインドネシアのEEZや領海内で違法操業して拿捕された中国やベトナムの漁船の乗組員が拘置されている施設があるが、インドネシア政府は新たな施設建設計画を発表した。「収容されている中国人とベトナム人の漁民がけんかや騒動を起こし、とても同じ施設に収容しておけない」というのがその理由だという。このような事例は中国とベトナムの関係が政治外交面だけでなく、市民レベルまで悪化していることを示している。


ASEAN会議でのカンボジアの中国寄りの姿勢に、シンガポールのシンクタンク研究者やタイのメディアからは「ASEANの在り方を見直す時期に来ている」との批判や論調が増えてきている。


見直しの要点は①「原則」としての全会一致の見直し ②加盟国の除名――に絞られている。この2点は実は新しくて古いASEANの問題点でこれまでもミャンマーの民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チー女史への人権問題が表面化した2003年に、当時のマレーシアのマハティール首相が「スーチー女史を解放しない場合はミャンマーを(ASEANから)除名する」と警告したこともある。


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