ASEAN分断図る中国、露骨な金権・恩義外交
Japan In-depth / 2016年8月1日 18時0分
「全会一致」と並ぶASEANの原則である「内政不干渉」についても「人権や領土領海など国境を超える問題では関係国で協議して解決を目指す」という主張が、特に1967年のASEAN発足当時の加盟国インドネシア、タイ、フィリピン、シンガポール、マレーシアから度々提唱されてきた。
しかし、国内に深刻な人権問題を抱えたり、社会主義、軍政という異なる政治体制だったりという個別事情をかかえたベトナム(1995年加盟)、ミャンマー、ラオス(1997年加盟)、カンボジア(1999年加盟)という「後から加盟した国々」による反対でいつまでも実現できない、という構造的問題が宿痾(しゅくあ)のようにASEAN という組織には付きまとっている。
来年2017年に発足から50年を迎えるASEANは、半世紀の節目に向けて、「原則」の見直しを含めたASEAN憲章の再検討という「内部改革」の動きをみせている。今回の会議でのカンボジアの姿勢がこの動きを加速させ、大きなうねりに発展する可能性は高い。当然のようにそうした事情は中国も理解しており、今後更にASEAN加盟国に対する中国からの個別の働きかけは激しさを増すことが十分予想される。「アメとムチ」「経済と恩義」「懐柔と恫喝」など中国からの攻勢にどう組織共同体としてASEANは対処していくのか、来年に向けて大きな曲がり角、正念場を迎えようとしている。
トップ画像:ラオス・ビエンチャンにおいて行われた日・ASEAN外相会議(出典 外務省HP)
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