小池氏の勝因とメディアの課題
Japan In-depth / 2016年8月1日 10時39分
統一候補になったものの、当初から鳥越候補は街頭演説の極端な少なさが健康不安を想起させた。また、とある街頭演説会に遅れてきては、演説もほとんどせず、歌手で友人の森進一氏に短い応援演説をさせたかと思ったら、メディアを呼んでいた“鳥越神社”への参拝に行くためにその場をすぐに立ち去り、ずっと待っていた有権者の怒りがテレビで放映されたり、フジテレビの政治討論番組「新報道2001」の直前の出演キャンセルで増田、小池候補との討論が流れたり、同じくフジテレビのお昼のワイドショー「バイキング」でようやく3候補揃ったかと思ったら、小池候補の「病み上がり」発言をやり玉にあげて「ガンサバイバーへの差別だ」と激高したり、インターネットの討論番組、「候補者ネット討論」(主催・わっしょい!ネット選挙)出演(24日)もドタキャンしたり、どうも選挙活動がぎくしゃくした感は否めなかった。
挙句の果てに、週刊文春の記事が出、週刊新潮も追っかけたのだが、鳥越候補は自分の口で説明せずに、弁護団がいきなりの刑事告訴とあいなった。これも有権者の頭に疑問符をつけることになったのは間違いない。
その後も、大島視察中に消費税を5%にする、と言ったり、街頭演説では小池候補を標的に「あの人は核武装すると言っている」と指弾して「東京非核化宣言」をぶち上げ、「東京250キロ圏内の原発停止と廃炉を電力会社に求める。」と約束したり、民進党の公約からはどんどん離れていった。これでは、支援団体は一枚岩にはなれなかったろう。
■自民党分裂選挙のわけ
一方、与党側の候補者選定もドタバタした。最初名前が挙がったのが、アイドルグループ嵐の櫻井翔の父親である前総務省事務次官桜井俊氏。与野党相乗りで、長島昭久・元防衛副大臣の名前も挙がった。が、結局元岩手県知事・元総務相の増田寛也氏に決まった。
増田候補は、知名度がそもそもない上に、早い段階から、ネット上では岩手県知事時代に債務を大幅に増やしたことや、東京一極集中を批判していたこと、総務相時代に法人事業税の一部を地方に再分配する「地方法人特別税」を創設し、その累計が1兆円にも上っていることなどが次々と明るみに出たことで、何故都知事になりたいのか、疑問に思った有権者も多かったろう。
また、自民党都連が増田候補以外を支援すると親戚含め党除名、なる文書をばらまいたこともマイナスに働いた。都連会長の石原伸晃衆議院議員は小池氏の都連への推薦依頼に対する回答を参院選後、と先送りし、結局小池氏の出馬を早めることになった。結果、自民分裂選挙にしてしまった罪は重い。
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