小池氏の勝因とメディアの課題
Japan In-depth / 2016年8月1日 10時39分
小池氏は党を除名されることはなかったが、孤立無援で選挙活動を行っている、との印象から、自民党支持者の同情票が小池候補に流れたのは間違いない。除名覚悟で小池支援に回った自民党の若狭勝衆議院議員の存在も大きかった。若狭氏は元東京地検特捜部副部長の肩書を前面に出し、小池候補が当初から問題視している、都議会のブラックボックス化している意思決定システムや、利権構造にメスを入れることをアピールした。猪瀬、舛添、と2代続いたカネの問題に辟易していた有権者には響いたであろうことは想像に難くない。
増田候補の敗戦は、党本部と都連の意思疎通の悪さと、それ故、候補者一本化に失敗したことが原因だろう。もっとも、最初から小池氏を候補に、という発想が都連にも党本部にもなかったであろうから、ある意味この結果は必然だったのかもしれない。また、小池氏にしてみれば、第二次安倍内閣では無役であり、このままでいるより、都知事選に勝負をかけた方が今後の事を考えると得策、との判断から出馬したと思われる。安倍首相がどこまでこの結果を予想していたかはわからないが、人事とは時として予期せぬ結果を引き起こすものだと言わざるを得ない。
その安倍首相は一度も増田候補の応援演説には入らず、30日にようやく菅義偉官房長官が応援に入ったに過ぎなかった。銀座4丁目で開かれたその街頭演説、司会の丸川珠代環境大臣の「5,000名の皆さんに集まって頂きました!」との絶叫も空しく、その5分の1いたかいなかったか、という状況で、組織選挙とは名ばかりと感じた。
一方、小池陣営は、無党派層とおぼしき有権者が日増しに増えていくのが実感できた。「百合子グリーン」といつしか呼ばれるようになった、緑のワンポイントを身につけて応援に駆け付けて、との呼びかけが浸透し、緑のスカーフや帽子だけでなく、ピーマンやブロッコリーなど野菜を持って駆けつける人も。女性が多いかと思いきや、男性も徐々に増えていったと感じた。その多くは自発的に集まって来た人たちで、道行く主婦も子連れで熱心に演説を聞いている姿が目立った。
野党と与党、双方の敵失は明らかにあったと思われるが、何より無党派層を取り込んだ、小池氏の勝ちはある意味最初から決まっていたのかもしれない。後出しじゃんけんではなく、いの一番に手を挙げた勇気、都連との対決姿勢を最初から鮮明にした度胸、党除名をモノともしない胆力、具体的な政策などが多くの都民に支持された結果であろう。
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