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フィリピンのトランプ、人権どこ吹く風 麻薬犯罪者240人殺害される

Japan In-depth / 2016年8月4日 18時0分

■一カ月で240人が殺害、12万人が出頭


麻薬犯罪に関わる犯罪者、麻薬常習者に容赦ない姿勢を示していたドゥテルテ氏が大統領に就任したことで、麻薬に関係するフィリピン人たちは恐慌に陥った。大統領選の終了後の5月10日から約1カ月の間に29人が警察官によって殺害されたのだが、大統領に就任した6月30日から7月30日までに1カ月にフィリピン全土で殺害された麻薬犯罪者は実に240人に上る(別の統計では293人とも)。この数字以外に警察官以外によって殺害された麻薬関連犯罪者とみられる数はかなり多いと言われているが、正確な数字は把握されていない。


こうした「お墨付きの問答無用の殺害」が横行するに至り、「殺されてはかなわない」と警察署に自首した人がこの1カ月で12万人に達したというのだ。うち7万人は麻薬の売人で残る人の大半が麻薬常習者だというから、ドゥテルテ大統領の強硬策が功を奏していることが裏付けられている。


こうした麻薬犯殺害は単に警察官だけでなく麻薬犯を知っている、発見した一般市民にも「行動すること」を求めている点も問題であると、キリスト教マニラ教区関係者や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などは指摘。そして「犯罪者を矯正するのに犯罪をもってしてはならない」「犯罪は司法によって裁かれるべき」と大統領を厳しく批判している。


ドゥテルテ大統領は麻薬組織幹部の殺害に約700万円、麻薬密売者に約500万円、麻薬組織構成員に約200万円と殺害ターゲット別の報奨金を用意するとし、警察官、一般市民の麻薬犯罪者殺害を“奨励”している。これに対し、麻薬組織も黙っておらず、ドゥテルテ大統領の暗殺に約1億円の懸賞金をかけたと言われている。


麻薬犯罪が減少する傾向をみせる中で、フィリピンの麻薬関連の犯罪者、麻薬使用者は今「殺すか殺されるか、さもなければ自首するか」という事態に追い込まれている。これもある意味では「ドゥテルテ効果」といえるだろう。


■ハネムーン期間終了迄はお手並み拝見


ドゥテルテ大統領は麻薬犯罪対策以外にも施政方針演説では反政府武装闘争を続ける新人民軍などに対し「我々は平和を求めている。」と突然平和交渉の開始を表明した。


国際社会が注目した中国と領有権争いをしている南シナ海問題でオランダの仲裁裁判所が「中国の主張に法的根拠はない」との裁定を下したことについては「平和的解決に向けて進めている取り組みに重要な貢献を果たす」とわずか30秒触れただけだった。


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