オリンピックでドーピング、何が悪い?
Japan In-depth / 2016年8月12日 9時10分
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
現在開催されているリオデジャネイロのオリンピックではロシアに組織的なドーピングがあったとして、ロシアの選手団の多くが参加できず、政治問題化している。だが筆者はドーピングのどこが悪いのか全くわからない。
オリンピックにでるようなアスリートはかなり肉体に無理をかけている。このため怪我は当たり前で、常人でありえないような「不健康」な体になっている。例えば女子マラソンなどでは生理が止まるだけではなく、体は酷使されて骨粗しょう症になって、体の年齢は老婆並になることもある。当然骨折も多発する。そもそも舗装道路を何十キロも走ることが体に悪いのは誰にでも分かることだろう。勝とうと思えば無理をしても勝とうというのがアスリートだ。
薬物使用による健康被害は憂慮すべきだが、トレーニングによる健康被害は無視してもよいというならば、その論理的な違いを説明して欲しい。薬物使用が悪いならば、過剰なトレーニングも禁止にすべきだ。スポーツが体にいいのは一種の迷信である。スポーツが体にいいのはお遊び程度でやっている程度だ。だが「お遊び」程度でやっているテニスにしても多くのアマチュアですらテニス肘を患っている現状をみればスポーツは体に悪いと思ったほうがよいだろう。健康害しても勝ちたい、面白いというのがスポーツの本質だろう。
そもそもオリンピックのような胡乱なイベントに公金を使って参加、まして開催すべきではないと思っている。オリンピックがいかに怪しいイベントかについては過去の筆者の記事を参照して欲しい。
どうせ参加するのはプロとアマチュアという名のプロばかりのスポーツ興行、見世物に過ぎない。プロレスと同じだ。どうして勝ちたいのであれば、いくらでも薬物を使用し、体を酷使して「人間の限界」に挑戦すべきだろう。
オリンピックは「清々しいスポーツマンの祭典」だから、正々堂々と戦うべきだというのはあまりにナイーブだ。オリンピックはIOCなる民間の任意の興行団体がやっている単なるスポーツ興行、「プロの運動会」に過ぎない。それに政治や企業が利権で群がっているだけのイベントである。
IOCは金銭的に不透明な組織であり、開催場所の選定などでは賄賂の横行や売春接待が行われてきたのはよく知られたところだ。2020年に開催される東京オリンピックも不透明な金の流れや、怪しげなコンサルタントの暗躍が報じられている。東京の新しいメインスタジアム建設の見苦しいドタバタもその一例だ。賄賂を渡そうが売春接待をしようが、それが私企業や個人のカネならば何も言わない。だが、投じられているのは我々納税者が収めた税金なのだ。果たして各国政府、特に開催国がオリンピックに多額の税金を投じる価値が有るのだろうか。
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