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オリンピックでドーピング、何が悪い?

Japan In-depth / 2016年8月12日 9時10分

こんなことをしていると戦前のような根拠なき日本人の優秀性を謳う、頭の悪い国家主義者や自称愛国者を増やすだけだ。我が国は経済的に停滞し、一億総中流と言われた時代は過去のものになりつつある。日常でいいことがなく、唯一誇れるのは自分が日本人という事実だけという人々が増えている。「愛国心とは、ならず者達の最後の避難所である」と英国の文豪サミュエル・ジョンソンは言い、同じく英国の文学者、ジョージ・バーナード・ショウ「愛国心とは、自分がそこに生まれたという理由で、その国が他より優っているとする信念のことだ」と述べている。

程度の低い「自称愛国者」は人種差別が好きな欧米のプア・ホワイトや愛国無罪でデモをおこして商店を略奪する中国人と同じだ。程度の悪い愛国者を増やすことが国益だろうか。最近我が国ではこのような「自称愛国者」が増えているが、「金メダル取りたい病」はそれに輪をかけるだけだろう。

自分が日本人ということ以外誇ることがない人間は、非寛容的になって排他主義に進む。筆者も人並みに愛国心は持っているつもりだが、根拠なき国家礼賛、選民主義を筆者は愛国心だとは思わない。

愛国心を涵養するのであれば、体を使うことよりも、教養を高めることと経済的な豊かさが必要だ。「恒産なくして恒心なし」というではないか。怪しげな「国際運動会」を開催して金メダルを沢山とることに1兆2,000億円も使うならば、その予算は女性が働ける環境を作ったり、片親家庭の生活をサポートしたり、返済不要な奨学金などに当てるべきではないだろうか。

面白いのは普段「防衛費にかけるカネがあれば社会福祉に使うべきだ」と主張しているような「平和主義者」がオリンピックでは日の丸を振って応援している。無論不要に防衛費を増やす必要はない。だが防衛費は国家主権と独立、国民の安全を守るために必要不可欠な、一種の保険料である。対してオリンピックにかける費用は「冗費」に過ぎない。

政府はオリンピックを通じてスポーツ振興を行って、国民の健康増進を推進するというがインチキもいいところだ。先述のようにスポーツは体に悪い。趣味程度のテニスでもテニス肘になる。ゴルフで腰痛になる人もいる。ゴルフやテニスでは一部の部位だけを酷使することによる炎症や関節の変形などはもちろん、それが体全体に歪みをもたらし、障害や病気の原因にもなる。その結果病院にいけば、当然医療費がかかるが本人の負担は3割に過ぎず、あとの7割は保険料と税金で支払われる。

老齢化もあり、毎年我が国の医療費は1兆円ずつ増えているという状態である。趣味のスポーツによる本来不要な健康被害に多額の税金を投じるべきかどうか、真剣に考えてみてはどうだろうか。国家が多額の税金を投入して健康増進のためを理由にスポーツの振興を行って、そのような健康被害を増やすことが果たして国益だろうか。健康維持のためなら、ちんたらゲートボールや太極拳でもやっている方がよほどマシだ。マラソンよりも1日30分の散歩のほうがよほど健康によいし、カネもかからない。

一時の熱狂のために多額の税金を浪費すべきではない。どうしてもオリンピックを開催したいのであれば、各国政府のカネを頼らずに、IOCやアスリートが自分たちで資金を工面して、開催すべきだろう。「パンとサーカス」で国民を愚民化する必要がどこにあるのだろうか。また我が国の国民は「パンとサーカス」が必要なほど民度が低くないはずだ。

 

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