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多様性の中の統一 インドネシア独立記念日に思う

Japan In-depth / 2016年8月24日 19時30分

 

■「みんな違う」「いい加減」が前提

 ジェトロ・アジア経済研究所に23年間在籍し、現在は松井グローカルの代表であるインドネシア研究の専門家、松井和久氏の言葉に「みんな同じ日本、みんな違うインドネシア」という至言がある。

インドネシアで道に迷った、みるからに外国人の筆者がたどたどしいインドネシア語でインドネシア人に道を尋ねると、全員が自信たっぷりに教えてくれる。1人目は右だ、2人目は左だ、3人目は真っ直ぐだ、と。彼らにとって「迷っている人に道を知らないと教えることは不親切」「間違ったらまた別の人に聞いてくれ」なのだ。

こういうインドネシアに慣れて来た筆者は複数の人に道を聞き、多数決で道を決める方法を学んだ。もっともそれでも方向違い、はしばしば起きたが。これを「いい加減」といえば確かにいい加減ではある。松井氏は「いい加減さは今の日本社会にとってとても大事だと思う。それは寛容という言葉の言い換え、と言える」とも指摘する。確かに今の日本は「他人に厳しい社会」「いい加減さのゆるされない」社会になってしまったかもしれない。

他人に優しいインドネシア社会だからなのか、独立記念日には恒例の恩赦がある。今年は全国の刑務所で服役する約8万2000人が対象となり、その恩恵に浴した。対象服役囚に一切の差別はなく、一定の条件を満たせば汚職犯、麻薬犯に加えてテロ犯も例外ではない。今年の恩赦では国際的なテロ組織「アルカイーダ」と関連があるとされるイスラム過激組織「ジェマ・イスラミア」の精神的指導者として服役中のアル・バカル・バシール師が三カ月の減刑となったことがマスコミをにぎわした。ヤソナ法務人権相は「独立記念日の恩赦は受刑者の権利だ」と明言した。

 

■独立宣言文に込めた思い

 71年前にスカルノ氏が高らかに読み上げた独立宣言の原文のコピーがジャカルタ中心部の「モナス(独立宣言広場)」の塔で展示されているが、現在使用されている10万ルピア札にもスカルノ氏、ハッタ氏(初代副大統領)の似顔絵の間にその文面が描かれている。

この宣言文の年号が「05」となっており、これが占領時に日本が使用していた皇紀2005年(1945年、昭和20年)であることから「スカルノらが強制されていないのに皇紀を使用した意味は重い」とか「日本は350年インドネシアを植民地支配してきたオランダを放逐した」「日本が独立を掲げて戦ったことがインドネシア独立につながった」などという解釈がいまだにある。

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