福島県いわき市の深刻な医師不足
Japan In-depth / 2016年8月26日 11時0分
『福島医大、被災地への医師派遣で3億円見返り 静岡、法外利息奨学金で憲法違反の疑い』
私は、いわき市の医師不足を改善するには、地元で医師を養成するか、医師の多い地域から呼び込むしかないと考えている。前者は医学部新設だ。震災後の2014年2月、いわき市議の吉田みきと氏が「医学部等の誘致の請願」を提出した。吉田氏は「医師養成の直接的なメリットだけに留まらず、教育レベルの底上げやホワイトカラーの雇用確保など地域への影響は大きい」と言うが、市議会では過半数の賛同を得ることができず、否決された。
いわき市は、福島県内唯一の福島医大の位置する福島市から約120キロ離れている。全国でもっとも大学病院との距離が遠い中核都市だ。医学部新設は政治コストが高い。いわき市は、東日本大震災という絶好の「好機」を逃したことになる。
いわき市の医師を増やすには、外部から医師を呼び込むしかない。その際、「医師不足で大変です。助けて下さい」と声高に主張することは、百害あって一利なしだ。福島県出身者以外で、そんな病院に行きたいと思う人は、まずいない。医師不足の深刻さを訴えれば訴えるほど、医師不足は悪化する。
いわき市が、福島県外から、本気で医師を呼びこみたければ、いわきという町、および病院が魅力的でなければならない。実は、いわき市内で気を吐く病院がある。それが冒頭にご紹介したときわ会常磐病院だ。泌尿器科・透析を中核とする総合病院で、東日本大震災で、取り残された患者を東京・千葉・新潟に搬送した。ご縁があって、私もお手伝いした。ご興味のある方は、拙著『復興は現場からはじまる』(東洋経済新報社)をお読み頂きたい。
東日本大震災以降、ときわ会常磐病院で働きたいという医師が急増している。震災時に8名だった常勤医は、16年4月現在で22人になった。看護師・准看護師は125人から226人に増えた。東日本大震災後、いわき市内で医師数・看護師数が増えた病院は、ここだけだ。
ときわ会常磐病院の特徴は、全国からやる気ある若者が集っていることだ。その典型が森医師である。この傾向は止まりそうにない。年明けには西日本の国立大学の血液内科で講師を務める女性医師が就職する。これで4月に立ち上げた血液内科は、二人体制となる。看護師も同様だ。今春、園田友紀さん(27)が就職した。彼女は、鹿児島の鶴丸高校から三重大学へと進み、保健師として石巻市役所に就職した。「勉強して、成長したい」と希望し、ときわ会に転職した。来年には四国出身の三十代の看護師が、地元の大学病院を辞めて移籍する。透析看護を学ぶためだ。
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