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米ペット霊園にハチ公像登場 不思議な“縁”が紡ぐ物語

Japan In-depth / 2016年10月11日 11時0分

米ペット霊園にハチ公像登場 不思議な“縁”が紡ぐ物語

井上麻衣子(ジャーナリスト/ビデオグラファー/ストリート・フォトグラファー)

「井上麻衣子のNYエクスプレス」

ニュージャージー州のペット霊園に、忠犬ハチ公の銅像がお目見えした。渋谷に鎮座する、ハチ公が独り静かに座っているあの銅像ではなく、飼い主の上野教授とハチ公がお互いの目を見つめ合い再会を喜ぶ瞬間を捉えた愛犬家なら誰でも、思わず微笑んでしまうような銅像である。

実はこの銅像、ハチ公の没後80周年を記念し、去年3月に東京大学に作られた銅像の複製だという。集まった愛犬家たちからの拍手が鳴り響く中、誇らしげに銅像を見つめていたのは、この霊園のオーナー、デレク・クックさんと、日本人の文筆家、由美・マクドナルドさん。この二人をつないだ不思議な縁が、日本が誇る忠犬ハチ公の物語をさらに紡いでいくことになる。

アメリカでハチ公は、割と知られている。2009年にハリウッドが日本映画「ハチ公物語」をリメイク。リチャード・ギア主演の映画「HACHI約束の犬」を制作し話題になったからである。

去年3月、東京大学の本郷キャンパスに、上野教授とハチ公が再会するシーンを再現した銅像が設置された際には、アメリカでもいくつかの新聞社が記事を掲載。これがニュージャージー州のペット霊園のオーナーの目にとまったのだ。

「私がこの霊園を作ったのは、人間と動物の絆を記念として残すためでした。東京大学の銅像についての記事を読んだとき、これほどまでに人間と動物の絆を象徴した銅像はないと思い、なんとかして、うちの霊園にもまったく同じものを置かせてほしいと願ったんです 」

すぐさま東京大学の銅像を作る会に連絡したクック氏だが、当初大学側からよき返事は得られなかった。しかし大学側の教授の一人が、去年アメリカで渋谷のハチ公についての小説を上梓した日本女性がいたことを思い出す。「Reminiscence of Shibuya(追憶の渋谷)」を書いた文筆家、由美・マクドナルドさんだ。

1930年代、渋谷駅で上野教授を待つハチ公を毎日目撃していたという母の思い出話をまとめ、 去年、英語で本を出版した由美さん。

彼女にはハチ公物語という素晴らしい実話をもっと海外に広めたいという願いがあった。東大の教授から、このニュージャージー州の霊園はハチ公銅像建設にふさわしい場所なのか調査を依頼された由美さんは、すぐさまこの霊園に魅了される。

82年の建設以来、5000匹のペットたちが眠るこの霊園は、東京ドームの7倍の敷地面積を誇る。南北戦争以来戦没者を慰霊してきたアーリントン国立墓地をデザインした建築家ラルフ・ダマート氏がデザインしただけあって、それは美しい公園のような霊園である。

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