トヨタ・スズキ提携交渉“第2のトヨス”か? その2
Japan In-depth / 2016年10月22日 23時0分
遠藤功治(株式会社SBI証券)
「遠藤功治のオートモーティブ・フォーカス」
3)トヨタより日産の方が理に適う
報道では、この9月に、スズキの鈴木修会長が、トヨタの豊田章一郎名誉会長のところに出向き、提携を申し入れた、ということになっています。今年1月に日経新聞がスズキとトヨタが提携などと報じた時には、修会長は全面否定で激怒したとも伝わっていただけに、この間、何か心境の変化でもあったのでしょうか。
この日経のように、以前からスズキがトヨタと提携するのではないかとの観測は、メディアやアナリストの中にも漂っておりました。スズキは以前、GMと提携していた時期が長く、車両のOEM供給やカナダでの共同生産、GM車の日本国内での輸入販売など、その提携関係は友好裏に継続していたのですが、2009年のGMの破綻を期にGMがスズキ株を売却、提携は解消されました。その後、スズキはVWとの提携を決め、VWはスズキに20%弱の出資をしたのですが、その後、VWがスズキを一方的に持分適用会社に組み込み、VWがあたかもスズキを子会社のように扱い始めたことにスズキが反発、国際調停裁判所での係争を経て、昨年末にVWがスズキ株を売却、提携は終了しました。
今回のトヨタとの記者会見でも、修会長は“スズキは独立した会社として経営していく”と話しています。それはその通りなのでしょうが、過去を見ると、このようにGMやVWとの提携を模索し続けてきたのが実態です。トヨタと並んで、世界の1,000万台クラブの両雄と既にビジネスをやってきた歴史がスズキにはある訳です。よって、VWとの提携が破綻した時に、次は誰と提携するのか、という疑問が出たのは自然なことです。その際、トヨタと提携するという意見と並んで、いや日産の方が適しているのではないか、という意見も一部にありました。そう、VWの後に組めるのはトヨタか日産しかない、やはりトヨタとの声が多い一方で、日産の方がよりしっくりと行くという、そのような意見も多かったのです。
現在、日産のゴーン社長は三菱自の買収を終了、ゴーン社長自ら三菱自の会長に就任、34%出資を果たし、早くもシナジー効果を算出しています。PHVでの協業、インドネシアからの三菱自製MPVのOEM供給、共同調達、プラットフォーム統合、云々です。これはこれで、統合効果を発揮すべく、今後更なる施策が出てくると思いますが、三菱自以上に、ゴーン社長が欲しかった会社、それが実はスズキであった、と個人的には思っています。
この記事に関連するニュース
-
4月の新車販売、11.2%減 ダイハツ不正の影響尾を引く
共同通信 / 2024年5月1日 19時31分
-
本当は「ベンツ」狙いだったが…苦境に立たされた「日産」が〈カルロス・ゴーン〉を擁する「ルノー」との提携を選んだワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月30日 13時0分
-
実力者を婿養子にして社長の座を譲る…究極の1本釣りによる「女系世襲」を続けたスズキの手堅い継承戦略
プレジデントオンライン / 2024年4月28日 10時15分
-
トヨタ、堤工場の停止期間を再び延長、ダイハツは5月から全工場で生産再開[新聞ウォッチ]
レスポンス / 2024年4月12日 8時45分
-
「これ軽だろ?高性能すぎる」 伝説のバケモノKカーが生まれた“時代” スズキの魂「アルトワークス」
乗りものニュース / 2024年4月7日 16時12分
ランキング
-
1ドンキの“固すぎる”Tシャツがじわじわ売れている 開発者が生地の厚みにこだわったワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月6日 8時0分
-
2日本郵便と西濃が共同輸送 長距離対象、24年問題に対応
共同通信 / 2024年5月6日 17時34分
-
3なぜラスクをギフト菓子に変えられたのか…ガトーフェスタハラダが「王様のおやつ」で年商200億円を築くまで
プレジデントオンライン / 2024年5月6日 10時15分
-
4京葉線東京駅への「長い長~~い乗り換え」回避する方法とは 実は隣の駅に秘密が!?
乗りものニュース / 2024年5月6日 15時12分
-
5「認知症にだけはなりたくない」高齢者が多いが…実は「恐れる必要はない」と和田秀樹氏が断言する“これだけの理由”
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月6日 10時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください