東京都働き方改革その1 残業代年・514億円!? 東京都長期ビジョンを読み解く!その39
Japan In-depth / 2016年11月23日 15時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
東京都は「(午後)8時完全退庁」をルールとし、残業ゼロに向けた取り組みをはじめた。非常に素晴らしい取り組みだと思う。真面目な都庁職員のワークライフバランス確保などのために当然の取り組みだと思う。
8時に帰宅することのメリットは、集中して仕事に取組めること、メリハリのついた仕事ができるようになること、ワークライフバランスも確保されること、残業している人だけが組織に対するコミットメントが(残業時間分だけ)高まること(簡単に言うと「頑張ってる」という他人からのイメージが醸成されること)が防止されること、電気代が節約されることなどがあげられる。そのほか、職員が早めに帰宅することで、育児や介護にかけることもできるようになり、地域活動・ソーシャルな活動にも参加できるようになる。人材育成面でも非常に良い効果が期待される。
そもそも都庁職員の方はとても優秀な方々が多く、頑張っている姿に感嘆することも多い。平成11年以来26年までに職員定数を12%も減らしてきたことも事実であり、人口10万人あたりの職員数は他の道府県と比較して、かなり少ない。
しかし、都庁全体で年間の残業にかかる経費はなんと514億円もかかっていることも事実なのだ(「広報東京都」11月号、5ページ)。
1 514億円の超過勤務?
「平成28年度 東京都人事行政の運営等の状況について」を見てみると詳しく載っている。
一般行政職は、
・支給実績(27年度普通会計決算)51,394,307千円
・職員1人当たり平均支給年額(27 年度普通会計決算)345 千円
職員1人あたり34万円、月平均にすると2.8万円といったところか。「514億円」となると「膨大」という印象だが、職員1人あたりにするとそれほどでもない。このお金はどこから出るのか?もちろん税金だ。都税納税義務者はだいたい651万人なのでこの数字で割ってみると都民1人当たり7800円くらいになる。
この数字を見てしまうと、午後5時半で終了するレベルで仕事をするための改革をお願いしたいものだと多くの人は思うだろう。しかし、都職員をこんなに働かせているのもまた都民でもある。
2 都にだって事情がある
「都庁 組織・人事改革ポリシー」という資料がある。27年3月に東京都総務局から出されたこの資料の中で、気になったのは「都民ニーズが多様化・高度化」という言葉である。都民から様々な要求がでるようになっていて、これまでより対応がより高度なレベルが求められている(ので対応が難しい→残業が増える)というところだろうか。この「多様化・高度化」という言葉には都庁職員の実感が込められている。
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