トランプ“強硬派”人事と利益相反 どこに向かう?アメリカ その2
Japan In-depth / 2016年11月26日 22時23分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
次期大統領となる男はニューヨークの目抜き通り、五番街にそびえる金ピカのトランプ・タワーに篭り、内閣に加えるべき人物を選んでいる。ドナルド・トランプは元々政治家ではないので、その道のベテランとのコネはないし、就任前から最低の支持率を記録した男に声をかけられても断る共和党メンバーもいるだろう。選挙戦の間中、彼がありとあらゆる差別発言を吐いても、忠実にかばい続けた人物に、ご褒美のようにポストが与えられている。
国家安全保障問題担当の大統領補佐官に選ばれたマイケル・フリン。アフガニスタンやイラクでの戦争で軍歴は積んだが、引退後の元軍部からの評価は「感情的」「攻撃的」と芳しくない。過去にCIAと衝突してアメリカ国防情報局長の座を追われている。共和党大会では対立候補を「投獄しろ!」と聴衆を煽ったり、カネのためにプーチンと並んで晩餐会に出たりと脇が甘く、イスラーム国に対して徹底抗戦をしないのは失策だと常にオバマ政権を非難してきた男だ。だが、トランプには軍の知識も外交の経験もないので、フリンはただのアドバイザーとしての役割を超えた影響力を持つであろう。
司法長官に指名されるジェフ・セッションズ上院議員。20年もアラバマの議員を務めているが、常に移民に対して厳しい一票を投じてきた。軍拡大好きの超タカ派。国債増加にも大反対なので、国内のインフラ整備に予算を割くと公言したトランプの計画にも反対しかねない。さらに過去の公聴会で選挙妨害や黒人差別問題が浮上して連邦裁判官になり損ねた過去を持つ。承認委員会でまた過去の差別発言が問題になりそうだ。
CIA長官に選ばれたマイク・ポンペオ。カンサスの保守派下院議員。お茶会派の台頭とともに当選したが、イランとの和平条約に反対、グアンタナモのテロリスト容疑者の強制収容所の拡大に大賛成、米国民の傍聴・監視にも積極的だ。そしてクリントン国務長官がリビア大使館襲撃事件に関わっていたと何度も執拗に攻撃し続けてきた。CIA長官も上院の承認が必要なので、ここでも一悶着あるかもしれない。
この他、トランプの大統領選の後半を仕切り、最高戦略責任者となったスティーブ・バノンが首席補佐官になるのでは?というニュースは、いくらなんでも「アルト・ライト」運動(注1)の中心人物を据えるのは世論が許さないとトランプが判断したのだろうか、共和党全国委員長のラインス・プリーバスが起用された。
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