問われるメディアの良心 子宮頸がんワクチンデータ捏造疑惑報道
Japan In-depth / 2016年11月27日 7時0分
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
「上昌広と福島県浜通り便り」
今回も子宮頸がんワクチン騒動を巡るメディア報道について書きたい。11月15日、子宮頸がんワクチンの副作用についての厚労省班研究(代表:池田修一信州大学教授)に関する不正疑惑について、信州大学が設置した調査委員会が、調査結果を発表した。
同日、朝日新聞は「信州大「不正認められず」子宮頸がんワクチン研究巡り」、毎日新聞は「子宮頸がんワクチン研究不正認められず 信州大調査委」という記事を配信した。朝日、毎日新聞の何れも池田教授のコメントを引用していた。朝日新聞は「捏造も不正もなかったことを実証していただき、安堵しました。引き続き子宮頸がんワクチン接種後の副反応に苦しむ女児たちの診療に全力を注ぎたいと思います」という具合だ。
私は、この記事を読んで驚いた。知人から入手した信州大学の調査委員会の報告書の内容とは全く違うからだ。確かに「前期の規定(筆者注:「信州大学の研究活動における不正行為の防止等に関する規定」のこと)に定める研究活動における不正行為及びガイドライン(筆者注:「厚生労働分野の研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」のこと)に定める特定不正行為は認められなかった」とあるが、報告書の多くは、池田教授ら研究者への批判で占められている。
「調査結果」の項目は「マウス実験について」、「池田教授について」、「A教授について」、「B特任教授について」から構成されるが、以下のような記載を認める。
「マウス実験について」では、「実験室的な実験(インビトロ)であり、結果の公表においてはあらぬ誤解を招かないように、細心の注意を払うべき性質のものであった」、「本件マウス実験の結果が、実験区ごとに各一匹のマウスから採取された血清を用いたものであることが確認された」、「実験の結果(筆者注:調査委員会が実施した再現実験)、いずれの検体についても無垢のマウスの脳組織との反応は認めることは出来なかった」とある。
「池田教授について」には、「研究代表者として、科学的な議論と意志疏通をはかる努力をしていれば、公表される前の段階で誤りが是正され、今回のような研究上の不正の疑いは生じなかった可能性が高かった」と冒頭で述べ、「調査委員会は、池田教授に対し、まず、本件マウス実験の結果が予備的な段階のものであることを、適切な方法をもって公に明らかにすることを求める」、「その根本的な修正には再実験による科学的検証が不可欠である」と提言している。
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