孫石熙氏は正義のジャーナリストなのか?
Japan In-depth / 2016年12月3日 19時0分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
最近日本のテレビ情報番組では、盛んに韓国ケーブルテレビJTBCの孫石熙(ソン・ソッキ)社長兼アンカーを「正義の報道人」のように持ち上げている。日本では知名度の低い彼の名前が急浮上したのは、「崔順実(チェ・スンシル)スキャンダル」の「スクープ報道」以後だ。それ以後、日本では朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する根拠のない「操り人形説」が拡散した。親北朝鮮系ジャーナリスト・辺真一氏もテレビ情報番組で孫石熙氏を持ち上げる一方、この「操り人形説」を広めることにも余念がなかった。
しかし韓国では、彼が影響力のある言論人だということと共に、政治的背景の中で動くジャーナリストであり、重大な誤報も連発しているジャーナリストであるということでも知られている。
1、「文在寅(ムン・ジェイン)救済説」が囁かれる孫石熙氏の「崔順実スキャンダル」報道
韓国のケーブルテレビJTBCは10月下旬、朴槿恵大統領の長年の友人「崔順実」被疑者が大統領の演説文やスケジュール表を手直しし、政治に介入したと報じた。これが韓国を揺るがす大スキャンダルへと発展し、参与連帯など左派市民団体が組織するデモから数次にわたる数十万人のデモへと発展した。 その結果朴槿恵大統領は11月29日の辞任表明へと追いやられた。予想外の展開に報道したJTBC・孫石熙氏自身も驚いているに違いない。
朴大統領が国家機構や公組織それに与党までも飛び越え、法的権限のない私人、それもレベルの低い人物に国政への介入を許し、国家システムの秩序を乱したのであるから辞任は当然のことである。しかしそのキッカケとなった報道が何らかの政治的意図をもって行われたのであればそれはそれで明らかにしていく必要がある。
崔順実氏のスキャンダルについては、以前から噂が絶えず、多くのメディアが取材を進めていた。そうした中でJTBCは、崔順実氏のパソコンタブレットを入手し、事実を確認したと伝えられる。だがその入手方法が正当なものだったのかどうかについては疑問が指摘されている。今後検察の捜査や一部マスコミの取材の中で明らかにされるだろう。
ただ、この報道が「共に民主党」前代表の文在寅スキャンダル、すなわち彼が盧武鉉(ノムヒョン)大統領秘書室長時代に「北朝鮮の意向を聞いた上で国連における北朝鮮人権決議採択への棄権を決めた」との10月初めに持ち上がった深刻なスキャンダル(宋 旻淳=ソン・ミンスン元外相が回顧録で暴露)騒動を消し去ったことは確かだ。だからこそ様々な憶測を呼んでいるのである。
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