革命による世紀の悲劇 共産党は裏切る ベトナム戦争の教訓 その3
Japan In-depth / 2016年12月8日 11時0分
ベトナム戦争は民族独立運動と共産主義革命の両方だった。その主役のベトナム共産党は長い闘争期間中、他の勢力を引き込むために自己の存在を薄め、民族独立という側面だけを強調した。共産主義という側面を徹底して隠した。だが現実には植民地支配を倒す闘争も共産主義というイデオロギーの裏打ちがあってこそ意義があるという基本理念だったのだ。日本の大多数の識者もメディアもベトナム戦争のこの両輪にうち民族独立だけをみて、共産革命の実態をみなかったといえよう。
サイゴン陥落で解放されたはずの南ベトナムからその後、数百万もの住民が小さな舟を荒海に乗り出し、国外脱出を図った。20年近くも続いたボートピープルという世紀の悲劇だった。容赦のない共産主義革命の結果である。
私は共産主義政党との非共産主義勢力との連携にはこのような前例があることの認知もいまの日本の政治認識には有意義だと感じてしまう。共産党との「連合」や「統一」にはこんな歴史の教訓もあったのだ。
もちろん20世紀のベトナムでの闘争と21世紀の日本での政治競合と、違いは大きいが、当時も現在も変わらない共産主義の教義という共通項を基点にした歴史的な考察はささやかでも意味があるだろう。そんな観点からのベトナム戦争体験の回顧である。(了)
(その1、その2、全3回。この記事は雑誌「歴史通」2016年11月号に掲載された「共産党は裏切る ベトナム戦争の教訓」の転載です。)
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
ジャンマリ・ルペン死去──極右の影響がフランス主流政治に溶け込むまで
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月14日 18時30分
-
中国ネットに住む「聴床師」たちとは何者か?
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月26日 10時45分
-
世界がまだ知らない注目の中国軍人・張又俠...粛清を生き延び、習近平を「背中から刺す」男
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月25日 18時5分
-
渡辺恒雄さん 歴代首相が頼った「先見の明」 自室の本棚には哲学書がびっしり
東スポWEB / 2024年12月20日 6時4分
-
トランプは「冷戦2.0」に勝てるのか?外交での3つの選択肢
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 16時31分
ランキング
-
1拘束の韓国大統領が談話「残念ながらこの国の法はすべて崩れた」「流血を防ぐため応じた」
読売新聞 / 2025年1月15日 11時52分
-
2氷点下のソウルで大統領拘束、「尹錫悦を守る」叫んだ支援者「ああ」とため息…「終わった」歓声も
読売新聞 / 2025年1月15日 13時27分
-
3韓国・尹錫悦大統領の拘束令状を執行、現職で初…戒厳令宣布巡り
読売新聞 / 2025年1月15日 10時55分
-
4世界の軍事力ランキングで韓国5位、北朝鮮34位、日本は?=韓国ネット「意味ない」「実際に戦ったら…」
Record China / 2025年1月15日 10時0分
-
5タイ警察、還付金詐欺疑いで邦人1人逮捕
AFPBB News / 2025年1月15日 11時53分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください