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日露首脳会談、高い「期待値」の不思議

Japan In-depth / 2016年12月13日 11時54分

日露首脳会談、高い「期待値」の不思議

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(12月12日-18日)」

今週のハイライトは何といっても15日の日露首脳会談だろう。山口県で開催するのは「国賓」でないことの証であり、その後、東京に来ても公式色は出さないのだろう。いずれにせよ、焦点は形式ではなく、サブスタンスだ。国際的に関心が高いのは、日露交渉とクリミア併合による対露経済制裁との関連があるからだろう。

それにしても、昨今日本のマスコミを中心に「期待値」が必要以上に高まっているのは何故なのか。筆者には良く分からない。領土問題や平和条約など戦略レベルの話をする時に、経済協力の多寡が決定的意味を持つとは限らない。されば、なぜ期待値が上がったり下がったりするのか、筆者には不思議ですらある。

いずれにせよ、オバマ大統領の任期は来年1月19日まで。ボクシングに例えれば、翌20日からは新たなラウンドが始まる。今回のラウンドで日本側がKOは無理にしてもダウンを奪えば、次回のラウンドの行方を左右する可能性が高い。逆に、ダウンがなければ、このラウンドは今後の長いバトルの末の判定の一要素でしかなかろう。

日露が戦略的重要問題について、ここまで首脳レベルで話し合ったこと自体、決して悪い話ではない。むしろ、よくここまで来たものだとすら思う。12月15日の結果がどのようなものとなるにせよ、日露、日中、中露、米中、米露関係などからなる東アジアの地域国際情勢は直ぐには解の出ない連立複次方程式だ。冷静に見るしかない。

〇欧州・ロシア

11日にトルコ大統領がカザフスタンを訪問、13日にはイスラエル首相がアゼリバイジャンを、ロシア外相がセルビアをそれぞれ訪れる。個人的には、こうした細かな動きが如何なる意味を持つかに大いに関心がある。どうも、欧州方面はロシアの思惑通りに動いているようで、実に不気味だが・・・。

〇東アジア・大洋州

15-16日に英外相が日本と韓国を訪問する。12-13日にはインドネシア大統領がインドを訪問する。

〇中東・アフリカ

12日に米国防長官がイスラエルを訪問する。13日にはロシアのエネルギー大臣がテヘランを訪れる。現在の中東を象徴するような主要プレーヤーの動きだが、ロシアはこの地域でトランプ政権と如何なるゲームをしようとするのか。いずれにせよ、トランプ政権の最大関心事が中東でのテロとの闘いであることだけは疑いなさそうだ。

○南北アメリカ

トランプ政権の外交チームが揃いつつある。個々の人事についてコメントは差し控えるとしても、全体としてはあまり機能しなさそうに見えるが、どうだろうか。米国の外交安保政策は基本的に、NSC大統領補佐官と国防長官と国務長官が作る三角形がチームとして動くか否かにかかっている。しっかりしてほしいものだ。

〇インド亜大陸

17日からバングラデシュ首相が安全保障協力の新たな合意について話し合うためインドを訪問する。バングラとの安保協力とは何を意味するのか。やはり、イスラム過激主義テロ対策なのだろうか。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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