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【大予測:米国連外交】混迷、パレスチナ・南スーダン

Japan In-depth / 2017年1月2日 1時10分

ネタニヤフ首相は、この決議の採択を非難し、国連への拠出金を支払わない、決議案に賛成した国々から大使を引き上げるといった対抗措置を発表した。トランプ次期大統領は、来年1月20日に就任してから即米国の国連政策が変わると警告を発した。その中身に関する詳細は未定だが、国連外交で財政面を中心に攻勢に出る可能性がある。

議会で多数派の共和党も既に国連への財政拠出拒否の対抗措置を検討している。イスラエルはトランプ次期大統領への大きな期待からパレスチナ政策で強硬姿勢を取っているが、そのような強硬姿勢が米国と国連の対立を煽るだけでなく、イスラエルとの関係改善を進めてきたスンニ派のアラブ諸国から反感を買い、中東和平をさらに困難なものにしてしまう可能性が大きくなっている。 

 

②南スーダンへの制裁決議否決、弱まる米国の影響力

米国は、12月23日、亀裂の深まる南スーダンで、キール大統領派とマチャール副大統領派の和解を促し大量虐殺を防ぐ一つの方法として、南スーダンへの武器禁輸と政府側の指導者とマチャール副大統領を対象にした資産の凍結や渡航制限といった「スマート制裁」を含む安全保障理事会(安保理)決議案を投票に付したが、決議採択に必要な9票を得ることが出来ずに否決された。スーダン紛争で和平交渉などに大きな役割を果たしてきた米国の影響力が弱まっていることを示すことにもなった。

この南スーダンへの武器禁輸決議案は、当初11月に決議に付される予定であったが、賛成は15理事国のうち西側の国々を中心とした7票にしか過ぎず、日本やロシア、中国、途上国などが反対したため、安保理決議案採択に必要な9票を得ることが困難な見通しとなり、その投票が遅れていたものだった。

ディンカ族のキール大統領派とヌエル族のマシャール副大統領派の対立が続く南スーダンでは、7月に首都ジュバで激戦が起き、マシャール派がジュバから撤退する事態が起きた。この戦闘では、国際NGO職員も襲撃され、助けを求めたにも関わらず国連PKOのケニア人司令官が救援すべく適切な対応を取らなかったため、国連は「文民の保護」を含む国連PKOの任務不履行を非難し、ケニア人指揮官を更迭した。これに怒ったケニア政府は、1000人に上るケニア部隊を撤退する対抗措置を取った。

安保理は、事態の鎮静化と国連の任務を守るために、8月、地域防護部隊という強制力を持つPKO部隊設立を決議したが、部隊への参加を表明したエチオピアとルワンダはまだ部隊の派遣をしていない。参加の意向を示していたケニアは参加を辞退した。

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