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自衛隊、オスプレイの空中給油能力を活用? その1

Japan In-depth / 2017年1月12日 20時31分

オスプレイがダンプカーならば、AW609は軽乗用車である。建設会社がダンプカーを調達するのに、同じタイヤが4つだからと軽乗用車を候補に入れるだろうか。だが、江渡防衛大臣(当時)は記者会見で筆者の「オスプレイとAW609は同じカテゴリーの機体かという」質問に対して、そう考えていると述べたが、自分は無知蒙昧なシロウトだと公言したに等しい。こうして「形だけの」競合が行われた。他国では議会で徹底的な追求を受けるような問題だ。しかし防衛省記者クラブの記者でこの発言を問題視した記者はいなかった。

防衛省は陸自に配備するオスプレイに空中給油を行う予定があるのだろうか。現在のところその予定はなさそうだ。オスプレイの最大ペイロードは約9トンであり、航続距離は概ねヘリコプターの3倍である。垂直離陸の場合の航続距離はペイロードが4.5トンの場合、350海里(648キロ)、同じく3.6トンの場合707海里(1310キロ)、短距離滑走離陸の場合最大ペイロードでは400海里(740キロ)、約半分の4.5トンの場合は950海里(1,760キロ)である。

オスプレイは垂直着陸の場合最大ペイロードの搭載はできず、約7トンに抑えられている。オスプレイは胴体下部に最大6.8トンの貨物を懸吊できるが、その場合短距離滑走離陸はできない。また貨物懸吊時は空気抵抗が増して速度・航続距離が落ちる。

沖縄本島から尖閣諸島までの距離は約410キロである。空中給油を行わないのであれば尖閣諸島で紛争が起こった場合に、沖縄本島を起点に作戦行動ができるのは滑走短距離離陸で機内ペイロードがせいぜい5トン程度、すなわち半分強程度の人員・貨物しか搭載できない。垂直離陸では作戦は不可能だ。後は石垣島あたりを経由するしかない。また同様に本土から水陸両部隊や、特殊作戦群、第一空挺団など精鋭部隊を搭載して一気に沖縄あるいは尖閣まで飛行することはできない。

空中給油を行うのであれば、重貨物を懸吊することは勿論、最大機内ペイロードでも数倍の距離を一挙に飛行することも不可能ではない。つまり空中給油を行わないということはオスプレイの能力をフルに活かせないし、戦術的な柔軟性も制限されることになる。

1月6日の東京新聞によれば、防衛省はオスプレイの空中給油を想定しているという。『陸自のオスプレイについて、防衛省幹部は「空中給油機能がある機種を調達する。空中給油の実施は想定している」と述べた。』

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