【大予測:自動車業界】トランプ氏のツイートで激震 その3
Japan In-depth / 2017年1月13日 23時0分
結果、何がわかるかと言うと、米BIG3全社、及びホンダが、全体の90%以上が米国・カナダ産であるということ。トヨタ・日産自動車は70%強と、4分の3程度は米国・カナダ製、反対から言えば、20-25%がメキシコを含む輸入車である、ということです。前述のように、日産自動車の場合はメキシコ生産が多く、トヨタ自動車の場合は非常に少ない。つまり、これをNAFTA製(米国・カナダ・メキシコ製合計)とすれば、トヨタ自動車がなお、日本からの輸入車に20%以上、依存しているということになります。富士重は60%日本車、マツダはこの表では100%輸入車ですが、メキシコ生産車が多いことを考えると、日本車比率は約50%程度と推定されます。実際、日系企業で、米国・カナダ以外からの輸入台数が最も多いのは、トヨタ自動車ということになります。
仮に、日本製自動車に対する関税を、現行の2.5%からBig Border Taxの35%に引き上げると、当然のこととして、日本から米国への自動車輸出は大打撃を受けることになります。日米間の自動車摩擦は過去、何度も起きていますが、最大のものは1981年に開始された、日本車の対米自主規制でしょう。年間168万台(その後、徐々に引き上げられた)という枠をもうけ、日本製の輸出車(米国からみれば輸入車)の数量規制に踏み切った訳です。
後から振り返れば、日本車はこれでぼろ儲けをする(需要がある所で供給量を規制する訳ですから、日本車の実勢価格が上がる)のですが、その規制発効時点では、日本各社にとっては、国内の工場稼働率という点で厳しい状況を迎えます。
メキシコからの輸入車に35%関税をかけると、米国内での自動車価格が2,000ドルから5,000ドル上昇するという指摘もあります。日本からの輸入車にBig Border Taxをかける、ないしは数量規制を実施することも、米国国内での日本車価格の引き上げにつながります。燃費とガソリン価格高騰及び品質の点から、1981年当時は、日本車の優位性がはっきりしていましたが、現在ではその優位性は揺らいでおり、日本車の競争力を更に毀損させることは明らかでしょう。トランプ次期大統領の真意が、対米輸出される日本製自動車にあるとすれば、日本メーカーにとっては、大きな脅威となる可能性があります。日本からの輸出を止めて、税金が下がる米国で生産せよ、tweetの次に来るのは、こういった“悪魔のささやき”かもしれません。
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