加速する小池旋風、次は都議選
Japan In-depth / 2017年2月6日 19時46分
前回の都議会選挙(2013年6月24日施行)で内田茂氏は8,449票獲得したのに、その56%しか与謝野候補に行っていない。内田氏を支持した有権者はどこへ行ったのか?共同通信の出口調査結果を見ると、支持政党別で、与謝野氏は自民支持層の27.8%しか固められなかったということなので、上の数字も納得だ。一方、石川氏は自民支持層の61.7%、公明支持層の90.9%、民進支持層の70.6%を獲得した。さらに、無党派層の65.5%も取り込んだという結果が出ているので、与謝野氏が石川氏に歯が立たなかったも致し方ないところだ。
今回の区長選挙を見てつくづく思うのは、与謝野陣営は本気で勝つ気があったのか、という素朴な疑問だ。選挙戦最終日、マイクによる街頭演説が出来なくなる午後8時前に選挙事務所前に現れた与謝野信候補は、「代理戦争」と呼ばれていることを記者に改めて問われ、「本当に残念。当然、誰の代理になるわけでもない。その一点に尽きる」と唇をかんだが時すでに遅し、そもそも小池都知事は当初からこの選挙を「代理戦」だと宣言していた。区長選挙を自ら内田都議との「代理戦」だと認めてしまうところが小池流だが、横綱級の相手にそう宣言されてしまっては、幾ら「代理戦」じゃない、と言ったところで額面通り受け取る有権者はいないだろう。
与謝野陣営は“ドン隠し”を徹底したが、そもそも戦略ミスだったのではないか?内田氏の姿が見えないのはまだ分かるが、出陣式に顔を見せた都連前会長の石原伸晃経済再生担当相や丸川珠代五輪相らは小池知事が頻繁に応援演説に入っていたのに比べだいぶ存在感が希薄だった。いくら相手の土俵に上がりたくない、といってもそこから逃げてしまっては有権者に覚悟が伝わらないのは明白だ。
数々の選挙戦を見てきた筆者だが、今回与謝野候補の事務所の活気のなさは驚くほどだった。投票前夜だというのに事務担当者が奥に2、3名、その前の応接ゾーンに支援者が2人という寂しさだ。先ほど紹介した午後8時前の候補者自身の演説に支援者とおぼしき区議や都議はせいぜい数名、地元の支援者?が10名程度、後はマスコミだった。当然内田氏の姿もなければ、都議会自民党の幹部も一人のみ。その場にいた年配の女性(千代田区民)に与謝野候補の支持者か?と尋ねても、「決めていません。」の一点張り、じゃあなぜそこにいるのかわからないが、「私はこの人を応援しています!」とすら言えない人達に囲まれているのでは当選できるわけもない。内田都議のおひざ元で不戦敗だけは避けたい、という思惑があったのかもしれないが、これでは与謝野氏が気の毒でならない。
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