調査報道メディア「ワセダクロニクル」編集長に聞く (上)
Japan In-depth / 2017年2月19日 11時30分
渡辺:いやいやそれはもうまったく。それはそれで、そこで働くことで現場があるわけですから。ただこちらの願いとしては、○○テレビの社員であるよりも、ジャーナリストである自分をしっかり大切にして、会社に入ってもジャーナリストである自分っていうのを行動基準にしなさいねと。会社に入って負けるなよと。
安倍:そこに軸足があるわけですね。なるほど。今後は渡辺さん一人だと、限界もありますよね。取材とか。もうちょっとメンバーを増やしていきたいとか?
渡辺:やっぱりただお給料が出せないので、そうするとなかなか厳しいので。どっちが先かっていうのがあるんですけど。お金が先か成果が先か。とりあえず今は成果をまずしっかり、こういう仕事をしていくんです、っていうことを皆さんにお示しして。そうじゃないと、お金を先に用意してスタッフを用意してっていっても、それではなかなかお金も集まらないし、やっぱりお金を払って寄付していただける方の気持ちも作品がちゃんとあった上でのほうが、やっぱり払う人の心持も違うでしょうし。
今はもうとにかくいい結果・発信を一つ一つ続けてそれにお金がついてきたら最高というか、それに従ってスタッフを拡充したり。記者だけいてもしょうがないですし。いろんな部門に必要だし、欲を言えばこういう人材も欲しい、こういう人材も欲しいってあるんですけど、まだ始まったばかりなのでそこは追々。
■調査報道をネットワーキングしていく
安倍:理想とするメディアはありますか?
渡辺:メディアっていうか、今GIJN (The Global Investigative Journalism Network)っていうのに加盟を申請しているんですけど、単体で何かやろうというのではなくて、日本ってどうしても会社割なので読売に負けるな朝日に負けるなフジに負けるなというのがあるんですけど、そこは連携できるところはどんどんこれから連携していければと思っていて。
だからワセダクロニクルだけではなくて、調査報道で何かこういうテーマやりたいというときは、それこそ安倍さんのところとかどこでもいろんなメディアがあるわけですね。状況が大きく違うのはたぶん、優秀なジャーナリストは今はもう外に出てるじゃないですか。長い間どこかの会社、安倍さんもそうですけど、がどんどんネットメディアに出ていっていて。それぞれのニュース組織を作って今奮闘しているわけで。そういうところは、どんどん連携しているとこはしていますね。それこそパナマ文書もそうですよね。一つの大きな会社がやったわけではなくて、調査報道のNPOとかが大同団結してやっているわけで。
安倍:プロジェクトベースのものがあってもいいと?
渡辺:そうですね。ジャーナリストの倫理みたいなものが共有できれば、どんどん提携して、まぁ競争は競争で大事だと思うんですけども、ちょうど今のメディア状況は、既存メディアから人がいろいろネットに流れていて。それぞれの試みをやっているわけだから、協同できるところは(協同していく)。
だから、GIJNも加盟団体は日本になかったんですよね。なんでかわかんないんだけど。ファクトチェックのオーガナイゼーションもないんですよ。日本って。日本報道検証機構だけなんですよ。
《調査報道メディア「ワセダクロニクル」編集長に聞く(下)につづく。このインタビューは編集長安倍宏行、編集部坪井映里香が2017年2月11日に実施したものです。》
*写真:ワセダクロニクル 渡辺周編集長©Japan In-depth編集部
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