金正恩、韓国大統領選に活路
Japan In-depth / 2017年3月4日 18時0分
まず、金正恩委員長は、出自や学歴が発表されておらず、母親が誰かもわからない状態であるが、これに対して金正男氏は家系や経歴がはっきりしており能力も高かった」と述べた。こうした点からも金正恩委員長は「兄に比べれば自慢することがなにもない」という劣等意識を持っていたはずだと朴氏は述べた。
また、若くして指導者になったせいで金正恩委員長には業績がなく、年寄りは自分を馬鹿にしているという意識もあるとした。こういった、金正恩委員長のパーソナリティに着目している朴氏は「そういうところを分析しないから、「彼は読めない、なにをするかわからない」という結論になる。しかしこれは結論とは言えない。彼は読めないでは予測し対策を立てることができない」と警鐘を鳴らした。
特にテレビでこれといった分析もせず「北朝鮮は盤石だ」とか「韓国の朴槿恵大統領が完全に崔順実(チェ・スンシル)被告の操り人形だ」などと根拠のない話を平気で流すテレビのワイドショーや一部のコメンテーターはあまりにも無責任だと厳しく批判した。
■国家機密知る金正男氏の「口封じ」
金正男氏は長男として金正恩委員長が生まれる前から後継者として金正日から教育されてきた。そのために彼はロイヤルファミリーの秘密、権力中枢内部の機密情報、さらには核の情報など、金正恩委員長ですら把握できていない重要な秘密を握っている可能性がある。こうした自身の知りえない秘密に恐怖心を抱き、金委員長は金正男氏を「口封じ」のために殺したのではないか、との考えを示した。
金正男氏は2001年の日本への不法入国がきっかけで後継者から脱落したものの、父からの信頼は厚かった。金正日氏から1億ドル以上のお金を任され、ファンドの運用、武器の販売、マネーロンダリングなどのビジネスを展開し金正日の秘密資金を潤した。まさに日本が金正男氏の活動拠点であった、と朴氏は指摘、その秘密資金に対する情報も口封じが必要だっただろうし、彼のもつ資金の回収もねらっただろうとの分析も行った。
「自分に変わる指導者になりうるという『枝削ぎ論』に基づいた動機、『直接的な利害関係』に基づく動機の2つがあると私は思っている」と朴氏は金正恩委員長による兄の暗殺の動機について説明した。
さらに動機として「北朝鮮の内部ががたつき始めている」ことが関係しているとも指摘した。
1990年代までの北朝鮮では統治者を崇拝する思想で成り立ってきた。だが、「今は思想で人は動いていない。恐怖とお金で動いている。」と朴氏は指摘した。統制が厳しい一方で、賄賂を渡せば見逃されるのが現状だという。拝金主義が蔓延する中で、金正恩委員長の統治資金調達の政策もあり、多くの人はビジネスに精を出している。ビジネスに情報は付き物だ。ゆえに、「噂が一つ入ると、わっと広がる状況」だということだ。そのため金正恩委員長は、「金正男氏のもつ情報が国内に入ってくると大変だという危機感」もあったと朴氏は指摘した。
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