金正恩、韓国大統領選に活路
Japan In-depth / 2017年3月4日 18時0分
かくして「目の上のタンコブ」だった金正男氏を抹殺し、金正恩委員長の目的は達成された。しかし、それによって金委員長はこれから枕を高くして寝ることができるのかというと決してそうではなく、「金正恩は得たものよりもダメージの方が大きいのではないか。」と朴氏は述べた。
■金正男暗殺で国際的に孤立する北朝鮮
まず、口封じをしたことで逆に情報が国内に浸透している、と朴氏は述べた。そもそも北朝鮮の一般国民は金正恩委員長に兄がいたことすら知らなかったが、そういった情報が外部から入っておりそれが広まりつつある。それらがどういう「爆弾」になるかまだわからないが、少なくとも「金正恩にとって悪い方向に動くことは間違いない」という。
国際関係も深刻だ。事件が起きたマレーシアをはじめ、「東南アジアに悪い印象を与えて、拠点がなくなるか弱体化」すると朴氏は予想。アメリカとの関係も、ニューヨークで予定されていた米国元高官と北朝鮮外務省高官との協議も中止となり、北朝鮮をテロ支援国に再指定すべきだとの動きが活発になってきている。また、米韓合同軍事演習も最大規模で行われている。
トランプ氏の性格から見て、当面金正恩委員長との交渉は行わず、「当面は激突するだろう」と朴氏はみている。また、「(金正恩氏にとって)一番きついのは人道の罪で裁かれること」と述べた。現実に起こる可能性は低いが、国際刑事裁判所に付託され実際に裁判が起きれば、金正恩氏は人道の罪で裁かれる指導者となり「イメージダウンは避けられず、その情報が国内に流入すれば彼の統治体制が揺らぐ可能性もある」と朴氏は指摘した。
中国でも事件直後、北朝鮮からの石炭輸入を年末まで停止すると発表。これは国連制裁の一環と言われているが、それだけではないと思われる、と朴氏は述べた。だが中国が今回の事件を正面から取り上げることはないだろうと見ている。中国は自国内でこういった事件が起こらないようにという働きかけはしていたが、実際に金正男氏を「真剣にどれほど守っていたかというとクエスチョン」とした。つまり、朴氏は「金正男がいるから北との関係がうまくいっていない部分もあったのではないか。喉に刺さったとげのように。」と述べ、だからこそ、この事件により今後中朝関係がスムーズになることも考えられる、とした。
■韓国での野党政権誕生に突破口を求める北朝鮮
国際的孤立が進み八方塞がり状態になっている中、金正恩委員長は突破口を韓国に見出そうとしている、と朴氏は述べた。親北朝鮮・反日反米の野党政権ができることは北朝鮮にとって孤立突破の「秘密兵器」になりうる、と朴氏は指摘した。しかしそれは日本にとって有利なこととは言えない。「韓国に左派野党政権ができたらまず慰安婦の問題が出てくるだろう」と朴氏は述べ、北朝鮮はそれによって日韓関係の悪化を期待しているという。同様に、日米韓の関係悪化も期待している。そういった中、日本にとって必要なことは「アメリカとがっちりタッグを組んで、韓国をひき寄せること」と朴氏は述べた。そうしてこそ中国との交渉もうまくいくのではという。
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