北朝鮮弾道ミサイル発射か、マレーシアは断交へ
Japan In-depth / 2017年3月6日 9時27分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・北朝鮮駐マレーシア大使国外追放期限、6日夜
・断交も視野に。背景に中国の意向。
・6日朝弾道ミサイル発射、ASEAN強硬姿勢へ
■国外追放期限は6日午後7時
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄にあたる金正男氏が2月13日にマレーシアのクアラルンプール国際空港で暗殺された事件でマレーシア政府は4日、在マレーシア北朝鮮大使館のカン・チョル(康哲)駐マレーシア大使の国外追放を発表した。期限は日本時間の6日午後7時と迫っている。
大使追放という強硬措置に出たことでマレーシアと北朝鮮の外交関係は厳しい局面を迎えたことになり、最終的には国交断絶をも辞さないという断固とした姿勢をマレーシアが北朝鮮に示したことになる。
マレーシアのアニファ外相は4日、金正男氏暗殺事件に関連してカン大使を外務省に呼んでいたが、カン大使は姿を現さなかった。事件発生当初よりカン大使は「マレーシア警察の捜査は信用できない」「死亡した北朝鮮国籍の男性の遺体を早期引き渡すべき」などと「内政に干渉する」旨の発言を繰り返していたこともあり、マレーシア政府はカン大使を外交上の「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に該当するとして国外追放を決断、北朝鮮政府に通告した。この通告によりカン大使は会談予定だった4日午後6時(現地時間)から48時間以内にマレーシアを退去しなければならなくなり、同時に今後のマレーシア入国も拒否されることになる。
■「国交断絶」も現実味 中国の意向反映し
マレーシア外務省によると事件後の2月28日に外務省関係者と北朝鮮側が非公式に会談した席でマレーシア側がカン大使による数々のマレーシア批判の発言について文書による謝罪を要求した。要求の期限の3月4日になっても北朝鮮側からは一切の回答がなかったことから最終的に大使追放に踏み切ったとしている。
大使追放措置を受けた国は対抗措置として自国の相手国大使を同様に追放処分するケースがあるが、マレーシアの在北朝鮮大使はすでにマレーシアに帰国している。このため北朝鮮政府は大使以外のマレーシア外交官の追放や航空便の停止、人的交流の停止、経済分野での活動中断、資産凍結などの対抗措置を取る可能性があるという。
マレーシアはすでに2日にこれまで北朝鮮国籍の旅券所持者に認めてきたビザなしのマレーシア渡航を6日から停止し、ビザ所得を義務付ける措置を取っている。
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