日産ゴーンは去ったのか? その1
Japan In-depth / 2017年3月9日 11時0分
常々ゴーン会長が言っていたことは、8%シェアは目標、8%利益率はコミットメント、というものであった。現状では、8%のグローバルシェア目標達成は非常に遠く、実際は6%台後半で着地する可能性が高い。コミットメントされた営業利益率だが、これは損益計算書の表面上の営業利益率ではなく、日産はここに中国事業を戻して入れなおして計算した比例連結ベースの数値、という注釈を入れる。
以前中国事業は比例連結され中国利益の半分が日産の連結決算の営業利益に反映されていたものが、現在は持分法適用となり、営業利益には一部を除いて中国の利益は反映されない。これを以前のように比例連結した場合に、8%の営業利益率が達成されていれば良い、という考え方である。それで実際はどうか。やはり達成は相当困難な状況で、今期の営業利益率は中国分を入れても、7.2%程度となる。つまり中期経営計画におけるコミットメントは未達ということになる。
一部メディアがゴーン会長が中期経営計画未達の責任を取って社長を辞任する、というようなトーンで記事を出していたが、事実としてこれは間違いである。間違いではあるが、従来からのコミットメント経営でゴーン会長が実行してきたことをレビューすれば、この指摘も的を得ていることになる。
日産は策定当初の前提に比べ、新興国経済が弱く、国内販売も低迷を続けたことを未達の理由に掲げている模様だが、その一方で米国や中国では、ほぼ一貫して堅調な市場拡大が続いた。為替も2012年以降緩やかな円安傾向である。中期経営計画で掲げられた2つの数値(目標であろうがコミットメントであろうが)が、共に未達になりそうだ、ということは、ゴーン会長にとっては想定外の事態であろう。再度強調するが、Power88は“未達”である、コミットメントは達成されない。
(その2に続く。全2回)
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