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文在寅圧勝、しかしもって3年

Japan In-depth / 2017年5月11日 10時36分

■所得格差の解消と失業率の改善

人口約5050万人の韓国。失業者は116万7千人。うち約47%の54万3千人が大学卒業以上で初めて50万人を突破(韓国統計庁)。家計負債額も増え続け1300兆ウォン(約130兆円)。一方で貧富の格差は開くばかりだ。

朴前大統領を弾劾に追いやった根底には、所得の格差や若者の失業率の高さがあった。若年層を支持基盤とする文大統領がこの点を解決できなければ、政権はすぐにほころびを見せるだろう。

文大統領は公務員枠の拡大をはじめ公共部門での雇用を80万人増やし、中小企ベンチャー企業創出をはじめとした部門での雇用拡大で110万人規模の雇用創出を主張しているが容易なことではない。もしもこの政策が失敗すれば我慢することに慣れていない若者層が再びデモに出てくる可能性は十分にある。

 ■待ったなしの外交安保

特に心配されるのは外交安保分野である。親北朝鮮姿勢を明確にする対北朝鮮政策では保守と対立しているだけではなく、THAAD(サード)問題などで米国とも対立している。また日本とは慰安婦合意問題での対立は明確だ。米、日だけではなく中国とも複雑な状況だ。

そればかりではない。北朝鮮核問題を自身が主導すると息巻いている文大統領であるが、そもそも北朝鮮は一貫して核問題は韓国と協議する問題ではないと主張している。願望を持つのは良いが、現実離れすると今度は朴前大統領とは違った意味で孤立することになる。

■分裂した社会の統合

今回の大統領選挙には13人もの候補が乱立した。これは韓国社会の分裂状況を如実に表したものだ。そのため新政権にとって「協力政治と連合政府」は選択ではなく必須になる見通しだ。

文氏もこのような現実を認識し、統合の意思を明らかにした。文氏は9日、投票を済ませた後に記者団に対し、「選挙が終わればこれからわれわれは一つ」とし、「競争したほかの候補、ほかの政党を私から迎え、協力する政治をする。国民も選挙が終われば一つになり、国民統合を必ず成し遂げて下さるよう願う」と強調した。

統合政府は党派や地域、世代を超え、公平を原則に韓国最高の人材を発掘し、最高の政策を作る政府を目指すことだという。ただ、野党側が大統合にどの程度応じるかについては不透明だ。「保守を壊滅させる」と叫び分裂を煽った文氏がにわかに「統合」を叫んでも保守層がそう簡単に許すはずはない。「協力政治と連合政府」という政治体制を構築するというが、文氏の力量では多分無理であろう。

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