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海自ヘリ選定巡る下克上と内局 その2

Japan In-depth / 2017年6月25日 8時0分

この時点までに、海幕防衛部長及び海幕関係職員は、平成27年3月18日の海幕防衛部長の指導により変更することとしていた救護・後送能力に係る要求性能が、比較的小型の機種であるSH-60Kでは第1段階評価(1項目でも要求を満たさなければ、除外する評価段階)を満たすことが困難と推定されるとの認識を得た(前記報告書)。

恐らくこの問題の原因は、海自内の航空集団の中の回転翼関機係者と、艦隊側の派閥抗争であろう。UH-Xは、艦隊側の運用要求で求められたものであり、いわばフネの備品的な要素を持っている。だが、海幕内の防衛部や装備計画部などの航空機関係者には当然ながら哨戒ヘリがメインの航空集団に属する人間が多い。

回転翼部隊で最も使われているのはSH-60の同型系型であるSH-60J、及びSH-60K、UH-60Jであり、次期対潜ヘリもSH-60Kをベースにした新型に決っている。つまり全部がSH-60 シリーズで統一されている。このため三菱重工に天下りの指定席も大きい。

回転翼部隊の関係者は「MCH-101はUH-60シリーズの約1.8倍のコストがかかるので、これを採用すると自分たちの対潜ヘリなどの予算が減る。艦隊の不便など知ったことではない。自分たちが使っているSH-60シリーズが安くて、天下り先の三菱重工にもいい顔ができていいだろう。」というのが本音だろう。当然ながらUH-60系のヘリの発注が増えれば天下り先の確保も安泰となる。

だが不適当な機体をUH-Xで選定すれば、海自全体の不利益となり、護衛艦に搭載された対潜ヘリの稼働率も下がるのだが、彼らは気にしていないようだ。つまりは了見の狭い縄張り根性だ。自分たちのムラのためならば、本来必要な装備調達を歪め、海自を弱体化し、救難活動で救える命を殺しても構わない、というのだろう。

だが今回三菱重工が関与した可能性は低いと多くの関係者は語る。それは既に80機以上と見られる次期対潜ヘリはSH-60Kの皆良型で決定しており、相応の仕事量は既に確保されている。僅か15機の調達を増やすために、危ない橋をわたる可能性は低いというのだ。そもそも三菱重工は天下りしたOBに現場仕事をさせない風土が強い。現場に口だしされるよりもゴルフでもして遊んでいたくれた方がありがたい、というのが本音だろう。

だが、海自のヘリ関係の幹部の天下り先として同社は大きな存在であり、既に同社に天下っているOBと現役幹部が天下り先の確保のために動いた可能性は否定できない。

*トップ写真:MCH101 回転翼機/出典:海上自衛隊

(その3につづく)

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