都議選後こそ問われる有権者の目
Japan In-depth / 2017年7月4日 11時27分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
スキャンダルに明け暮れた半年だった。
森友学園問題、加計学園問題、復興大臣の暴言、女性議員の秘書に対するパワハラ音声流出、稲田防衛大臣の資質問題、ワイドショーを賑わせない日はないくらいだった。
国民は呆れ、嫌気がさしてきたところに爽やかに誕生したのが「都民ファーストの会」だ。満を持して小池都知事が代表になり、自民、民進からの鞍替え組候補を抱えつつも清新さは失われず選挙戦を駆け抜けた。結果はご覧のとおりだ。
今年の前半といえば、北朝鮮がこれでもか、という程ミサイルを発射し続け、とうとうEEZに到達するものまで出て、危機感はMAXに。アメリカの空母や原子力潜水艦が日本海に展開する程の緊張状態だったにもかかわらず、日本国内は安倍政権のスキャンダルに明け暮れた。北朝鮮も中国も、そして韓国も内心ほくそ笑んでいただろう。
都議選は、自民党と官邸のオウンゴールとまで揶揄されたが、当たらずといえども遠からず。明らかに危機管理を誤ったと思う。森友学園問題しかり、加計学園問題しかり。かならずといっていいほど、籠池氏、前川氏が次々登場し、政権を痛烈に批判、その発言が連日メディアに取り上げられた。
考えてもみて欲しい。一般論だが、自分の尊敬する人を後ろから鉄砲で打つ行為はそうそう出来るもんじゃない。よほどの“恨みつらみ”が無ければ人はそうした行為に走らない。そこが一番のカギだと思っている。
「この野郎、今に見てろよ。いずれ吠え面かかせてやる!」と人が決意したとする。その深層心理にあるのは、往々にして、拭い去ることができない「屈辱」だ。相手に「侮蔑」され、耐え難い「屈辱」を与えた相手に一矢報いることが、その人の生きる目的になりうるということだ。
議員の女性問題しかり、秘書のパワハラ告発しかり、あらゆるスキャンダルは、“恨みを買って自分のアキレス腱を暴露される”というパターンが“王道”だ。
しかし、そんなことは政治家であるなら、だれでもわかっていることだろう。民間にいる我々ですら常識だ。だからこそ人間関係には細心の注意を払うし、何かまずいことがあればすぐに相手に謝るか、何らかの対応策を取るだろう。
しかし、安倍総理、官邸、自民党の幹部、都議会自民党は、違った。圧倒的な権力を持っていると己を過信し、なんでも思い通りになると勘違いしていたのではないか。
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