インドネシア潜在テロリスト六百人
Japan In-depth / 2017年7月9日 12時7分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・インドネシアのテロ、市民や警察官を標的に。
・ISはジャカルタを拠点化するとのビラ発見さる。
・インドネシアに止まらないグローバルなテロとの闘いに突入。
東南アジアの大国で世界最大のイスラム教徒人口(総人口約2億5500万人の約88%)を擁するインドネシアが今、新たなテロの脅威に直面している。
これまでも東南アジアのイスラム系テロ組織「ジェマ・イスラミア(JI)」などアルカイーダ系のテロ組織メンバーによる欧米系ホテルや飲食店、欧米人が集まるディスコなどを狙った強力な爆弾を使ったテロはあったが、国家警察や国軍など治安当局の厳しい取り締まりと摘発で事件は減少、メンバーの多くが逮捕、投獄され組織は弱体化した。
ところが最近、手製の小型爆弾や拳銃、ナイフなどという小火器・武器による単独か少人数で市民が多く集まる繁華街、バスターミナルを狙うテロが増加する傾向が見え始めた。
さらに今年5月以降、警察官を狙ったテロが相次いで発生、テロのターゲットが欧米資本から一般市民、そして警察官へと変化してきている。
そんな中、国家警察は潜在的なテロリストとして約600人をマークして逮捕に全力を挙げていることを明らかにした。この変容しつつある新たなテロへの対応は、ドイツ・ハンブルグで開かれたG20(主要20カ国)首脳会合に参加、テロとの戦いで国際協調などを訴えたジョコ・ウィドド大統領にとって急務となっている。
■ 警察ターゲットの事件相次ぐ
5月24日、首都ジャカルタのカンプン・ムラユにあるバス停付近で2件の自爆テロによる爆発が発生、イスラム教徒の重要行事である断食月前の市民によるお祭り行列を警戒警備中の警察官3人が巻き添えとなって死亡した。
その後の調べで実行犯は中東のイスラムテロ組織「イスラム国(IS)」に参加しているインドネシア人のバフルン・ナイム容疑者と連絡を取っていたことが判明している。
6月17日、西ヌサテンガラ州ビマ県で手製爆弾によるテロを実行しようとして逮捕された男性3人は「警察署を爆破する計画だった」と供述。6月25日にはスマトラ島北部北スマトラ州の州都メダンにある州警察本部に侵入した男2人によって警察官1人が刺殺される事件も起きた。容疑者らは午前3時に武器を奪う目的で侵入したとみられている。容疑者の自宅からはISの旗やIS指導者の写真が発見押収された。
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