ペルー政界に波紋 フジモリ家内紛勃発
Japan In-depth / 2017年9月4日 10時38分
FPは7月下旬に開いた党規律委員会で、ケンジ氏の党員資格を60日間一部はく奪する処分を決定した。FPはこの理由として、「頻繁かつ、意図的に不適切な行為を繰り返し、党のイメージを傷つけた」点を挙げるとともに、ケンジ氏が党内の会合にほとんど出席せず、マスコミ向けに党批判の発言をしたと糾弾した。
今回の「ケンジの乱」(リマのテレビ「パナアメリカーナ」)を一層騒がしくしたのは、父親のフジモリ元大統領がケンジの助っ人として“参戦”したこと。大統領時代の人権侵害などで禁錮25年の刑に服し、収監中のフジモリ氏はツイッターで「なぜケンジが処分を受けねばならないのか」とFPの決定に不服をとなえ、「父親の釈放を求め、闘っている良き息子」とケンジ氏を徹底的に擁護。
▲写真5:収監中のアルベルト・フジモリ元大統領 出典)twitter : @albertofujimori
ウマラ前大統領との面会についても「つらい状況にある前大統領のウマラ氏に敬意を示し、必要な手助けをしただけ」と、ケンジ氏の行動を全面的に支持した。名指しは避けながらも、暗にケイコ氏を非難したと受け取れる発言だ。
これに対しケイコ氏は、「党の規則は規則として守らなければならない」と強調する一方、今後も父親の釈放を求めて闘い続けるとし、FPの議員らには「団結し、規律に従って仕事にまい進しよう」と訴えた。
父親の恩赦問題も微妙に絡む実はケイコ氏とケンジ氏の確執が伝えられたのは、これが初めてではない。昨年の大統領選の選挙戦略をめぐり、父親の強権政治イメージから脱却しようとするケイコ氏に対しケンジ氏が反発したほか、2021年の次期大統領選にケンジ氏が立候補の意向をほのめかしたことをケイコ氏が厳しくたしなめたとも伝えられた。今回の二人の確執の引き金になったとされるのは、今年4月に国会に提出された「刑事罰執行法」改正案。
同法案は75歳以上の受刑者が残りの刑期を自宅で終えることを可能にするのが目的で、「実質的にフジモリ元大統領の自宅軟禁を想定したもの」(エル・コメルシオ)と受け取られていた。しかし、FPは「フジモリ元大統領は自宅軟禁ではなく、完全な自由となる恩赦が与えられるべき」との立場を崩さず、結局、同案は廃案に。
ペルーの政治アナリスト、カルロス・メレンデス氏は「ケンジ氏は廃案にしたFP指導部に強い不満を抱くとともに、ケイコ氏が父親の釈放に関心がないと判断、それ以降ケンジの反逆が本格化した」と指摘する。リマのマスコミの間では「ケイコはケンジの政治的発言力が増すのを恐れて、父親の釈放には消極的」との見方もチラホラ。
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