朝日の虚報、尖閣への日米安保適用で
Japan In-depth / 2017年9月21日 23時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・朝日新聞が「米国が初めて尖閣への『安保条約適用』を明言したのはオバマ前政権下の2010年。」と報道。
・これは誤報で、尖閣諸島への日米安保条約の適用を明言したのはオバマ政権以前の政権の代表が何度も明言してきた。
・日米同盟でのアメリカの防衛誓約がいかにも不確実であるかのように描く政治的な意図すら感じる。
【注:この記事には複数の写真が含まれていますが、サイトによって全部表示されず、キャプションと出典のみ記載されることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=36213のサイトで記事をお読みさい。】
朝日新聞が尖閣諸島の防衛について重大な誤記を堂々と掲載しているのにはびっくりした。
故意か、過失か、は不明にしても、これほど大きな誤認に基づいて日本の防衛や国家のあり方を日ごろ論じ、報じているのかという驚きだった。
このミスは朝日新聞9月15日朝刊4面の「検証 尖閣国有化から5年」という記事(注:リンクはWeb版)のなかにあった。アメリカが日米安保条約に基づき日本の施政権下にある領土としての尖閣諸島を防衛の対象にすることについての記述だった。誤記は以下の文章だった。
「米国が初めて尖閣への『安保条約適用』を明言したのはオバマ前政権下の2010年。」
この記述は明らかに事実に反する。尖閣諸島と日米安保条約、日米同盟との関係についてワシントンで長年、報道してきた私にとって、朝日新聞記者たちがこんな程度の認識で日本の領土の防衛と日米安保条約との関連について報道をしているとはショックだった。朝日新聞の読者は尖閣諸島の防衛についてまったく誤った情報を信じこまされることになるわけだ。
事実は以下のとおりである。
尖閣諸島への日米安保条約の適用を明言したのは決してオバマ政権が初めてではない。それ以前の政権の代表がすでに何度も明言してきたのだ。日本側でも報道された実例をあげよう。
・民主党クリントン政権時代の1996年、カート・キャンベル国防次官補代理(当時)は、尖閣諸島を日米安保条約の適用対象とし、有事の際にはアメリカの防衛義務が生じるとの見解を示した。もちろんクリントン政権下のアメリカ政府の公式政策の表明だった。
▲写真 鳩山元首相と面会するカート・キャンベル国防次官補代理(当時) 2010年5月21日 出典:U.S. Department of State
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