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“国歌斉唱不起立”に見る米人種問題の本質1

Japan In-depth / 2017年10月3日 1時14分

トランプ氏はさらにツイートで、「もし選手がNFLやその他のスポーツ・リーグで何百万ドルも稼ぐ特権を手にしたいなら、我々の偉大な米国旗への不敬は許されてはならない。」「国歌には起立すべきだ。そうしないなら、お前はクビだ。何か別のことをしろ!」と書いている。メディアはこれを面白おかしく書き立てる。

If a player wants the privilege of making millions of dollars in the NFL,or other leagues, he or she should not be allowed to disrespect....

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年9月23日

そのような報道の視点から見えるのは、育ててくれた祖国に感謝の念を持たない不敬な黒人たちが、純粋にスポーツを楽しむイベントを政治化し、国民団結の場である国歌斉唱を分裂のパフォーマンスへと変えてしまっているとする見解だ。黒人に「同情的」なリベラル系メディアでさえ、フォーカスが愛国心やスポーツの政治化に当てられており、黒人への暴力そのものに関する報道が極めて少ない。

ここには、大きな人種間の意識のズレがある。そうしたなか、NFLや他のプロスポーツの場においても、「片膝抗議」や「腕組み抗議」が拡大している。9月24日の試合では、ボルティモア・レイブンズのテレル・サッグス選手(34)などスター級を含む多数のアスリートが、国歌斉唱の際に片膝をついた。

▲写真 テレル・サッグス選手 flickr : Keith Allison

ニューイングランド・ペイトリオッツ、クリーブランド・ブラウンズ、マイアミ・ドルフィンズといった主要チームでは選手たちが起立を拒否し、ピッツバーグ・スティーラーズの選手たちに至っては、国歌斉唱が終わるまで1人を除いてフィールドに現れなかったのである。

このように抗議が広がるほど、白人の間におけるトランプ大統領の支持は強まる。けしからぬ黒人たちに対し、トランプ氏は遠慮することなく叱りつけてくれるからである。トランプ大統領は、彼らの代弁者を演じているのだ。

底流にあるのは、「人種間の不平等の解消に、すでに大きな進歩があった」(米エール大学が9月25日に発表した白人の意識に関する研究論文)、「黒人の文句に根拠はない」とする前提である。

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