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歴史は語る 福島・医師不足のわけ

Japan In-depth / 2017年10月6日 12時0分

 

なぜ、こんなことになるのだろう。それは医師の絶対数が足りないからだ。絶対数が足りなければ、必ず何処かで不足する。供給が不足しているのに、厚労省や大学教授たちは、「医師は将来余る。偏在是正が重要」と主張し、自らが偏在是正の役割を果たすように制度設計したがる。新専門医制度など、その典型だ。供給統制だから、統制者には絶大な権限を握る。ただ、こんなことをしている限り、問題は解決しない。

 

供給不足が続けば、インフレが生じる。既に地方の病院が医師を派遣して貰おうと思えば、高額な給与を保証したり、派遣元の大学に年間3000万円程度を支払い、寄附講座を設立しなければならなくなっている。

 

医師不足をいいことに、暴利を貪る連中に対して、いつか国民の不満が爆発する。旧ソ連の崩壊のようなことが起こるかもしれない。福島が発火点になるかもしれない。

 

来年は明治維新150年。福島では福島民友が中心となって、戊辰戦争の後遺症を見直そうという動きが起こっている。筆者も9月25日の福島民友に「医師数の「西高東低」「戊辰戦争の後遺症」という文章を寄稿した。本稿では、この問題をご紹介したい。

 

■西高東低に偏る日本の医師数

 

繰り返しになるが、福島の医師不足は深刻だ。人口10万人あたりの医師数は189人。リビアやアラブ首長国連邦と同レベルだ。高齢化の違いを考慮すれば、福島はリビアやアラブ首長国連邦より、遙かに医師が不足している。

 

 世間では「医師は東京に集中している」とお考えの方が多い。確かに東京の人口10万当たりの医師数は305人と多い。ただ、東京の医師数は、実は京都(308人)や徳島(303人)と変わらない。

 

 我が国の医師数は圧倒的に西高東低なのだ。過疎に悩む鳥取県や高知県の人口10万人あたりの医師数は、それぞれ290人、293人だ。

 

 

▲図1:都道府県別医師数(2014年厚労省医師・歯科医師・薬剤師調査より)

 

 なぜ、こんなに差がつくのだろう。それは医学部が西日本に多いからだ。例えば、人口385万人の四国には4つ、人口1302万の九州には10の医学部がある。

 

福島県は人口191万人の大きな県なのに、医学部は一つしかない。首都圏(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)の人口は3613万人だが、医学部は21しかない(大学校である防衛医大を含む)。

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