歪んだ世界の日本観3 セックスレスの日本人
Japan In-depth / 2017年10月13日 12時19分
キンモンス:そういうことを書く欧米の記者には基本的な社会科学の知識がないから、完全に事実と違う記事もよく見かけます。日本の出生率は下がる一方であるなんて、とんでもない。2006年を底として、出生率はじわじわ上がっているのです。
日本の自殺者は毎年3万人を超えているという記事も、つい最近、読みました。しかし日本の自殺者は、2009年をピークに下がっています。一方で、アメリカの自殺者はどんどん増えている。
また、自殺をどう定義するかによっても統計は違ってきます。単純に自分を殺すことと定義すれば、アメリカの自殺は日本よりもはるかに多い。なぜかというと、昨年2016年は4万4千人のアメリカ人が麻薬のやりすぎ(オーバードーズ:over dose)で亡くなっているからです。
古森:麻薬で死ぬのも、広い意味での自殺に入るというのはうなずけますね。それを統計に入れると、アメリカの自殺者数は膨大になってしまう。
しかし、『ニューヨーク・タイムズ』をはじめとして、かれこれ20年から30年も、なにかと言えば日本は若者の自殺が多い国であるという記事がアメリカの新聞に掲載されてきました。そういう記事には、日本が抑圧社会だからだという決まり文句がセットになっています。
キンモンス:イギリスの『ガーディアン』紙にも、"Why Japan prefers pets to parental?" というようなバカげた記事が載るのです。
古森:「なぜ日本人は子供の親にならずにペットを飼うのか」というタイトルですか。『ガーディアン』というのは労働党系のちょっと左っぽい新聞ですが、イギリス国民には信頼されている一流紙ですね。
キンモンス:日本人が飼っているイヌとネコの数は、人間の子供の数をはるかに上回っているというのです。だけど、それはどこの国でも同じでしょう(笑)。もちろん飼っている動物の国勢調査をしている国などないでしょうが、アメリカでは飼っている動物の数が、子供よりはるかに多いはずです。にもかかわらず、いかにも日本が変な国のように書く。それがいいかげんな新聞ではなくて……。
古森:イギリスでquality paper、 つまり高級とされている新聞がそういうことを書く。
キンモンス:日本の新聞は真面目なニュースと娯楽記事とを区別して、あくまでも事実を伝えようとしています。朝日新聞や産経新聞のような一般紙と、スポニチやサンスポのようなスポーツ紙はまったく違う。
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