究極の「負け惜しみ」 朝日の総選挙評
Japan In-depth / 2017年10月25日 22時28分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・朝日新聞が総選挙後「一強政治 見直す機会に」との評論記事掲載。
・記事は、総選挙で現状の変化を求めない民意が証明されたのも拘わらず、安倍首相は「変化を求める民意の兆し」を感じたはず、とした。
・朝日新聞の総選挙に関する報道や評論がこれで良いのかとの疑問が提起された。
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今回の総選挙は改めてニュースメディアのあり方に鋭利な光を当てた。総選挙の報道や評論がこれでよいのか、という疑問が再度、提起されたわけだ。
今回の選挙報道でも党派性を最も顕著に発揮したのはやはり朝日新聞だろう。選挙キャンペーンの前も最中も、安倍晋三首相の率いる自民党への反対は陰に陽に、一貫していた。とくに安倍氏個人への批判や非難はあからさまだった。
新聞の機能には報道と評論の二つがある。報道はニュースのお知らせ、実際に起きた出来事をできるだけ客観的に、事実に沿って報じるのが報道である。これに対して新聞社自体の見解をも含めて、意見を紹介するのが評論である。この評論には客観性がなくてもよい。自分の意見を主観的に述べるわけだ。
だが現実には新聞各紙ではこの報道と評論の区分は曖昧である。客観的なニュースのお知らせのなかに、きわめて主観的な偏見や差別が入り混じるという新聞記事の実例は数限りない。だがそれでも新聞の側はこの報道、評論の区分、客観、主観の区別をつけることにベストの努力は試みるべきだろう。
さてこんな基準を念頭にして眺めると、今回の選挙報道では朝日新聞の偏向が極端に突出していた。病的にも映る自民党忌避、安倍嫌いが紙面の全体に満ち満ちていたのだ。その結果、自民党や安倍首相にとって有利になりうる出来事は事実でも、重要でも、無視、軽視する結果となる。
この偏りを最もあからさまに感じたのは、おもしろいことに総選挙結果が判明した後の朝日新聞代表の評論記事だった。日本国民の大多数が安倍首相の自民党を支持する審判を下した後のはずなのに、いかにもまだその審判が下されていないかのような内容の評論なのだ。自分たちの思いどおりには選挙は展開しなかったことを認めたくない幼稚な苦情を感じさせられた。
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