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クールジャパン戦略、曲がり角

Japan In-depth / 2017年11月18日 18時4分

またマレーシアの首都クアラルンプールの繁華街にある百貨店は「日本がそのまま来た」かのような店舗で、地元に溶け込めておらず来店客はまばら、17年4~6月の営業赤字は計画の3倍強に膨らんだという。

だが、それがダイレクトにクールジャパンの活動が失敗とはいいがたい。だいたい新事業は利益が上がり始めるのに時間がかかるものだし、1,2年で新しい事業の成果を最終判断してしまうこと自体に無理があるのも確かだ。

それよりも気になったのは、投資がうまくいっていないという批判は、「投資が限られた一部の企業のみという懸念」や「軌道に乗らなかった場合投資が無駄になることへの懸念」、「マーケティングもうまくされてない事業に投資している懸念」からきていることだ。

確かにCJ機構が定めた基準である、「海外に日本の製品を発信する拠点を作るために将来性があると判断された企業」に投資されてはいるものの、件数も少なく、決定過程の不透明さを勘繰られてもおかしくない状況であり、また投資した会社の企画自体が日本そのままを海外に持って行っているような事業もあり、ただの日本の押し売りで本当にいいのか?と疑問に思う企画もある。

もちろんCJ機構が投資した会社の中にも、目標を達成している会社もある。その一つがフランスのパリで日本の地産品をプロモーションする日系企業「エニス(ENIS)」だ。海外で日本の地産品をプロモーションと言う難易度の高いチャレンジであるにもかかわらず成果を上げている。それは、日本の物を売っているといっても、フランスに20年以上住んだ経験に基づくマーケティングが行われているからだろう。

▲写真 エニスが運営している「maison wa」出典:Space Magic Mon Co.,

まず、この会社は投資を受けた2015年よりも4年前の2011年からすでに活動が行われている。それまでに「有田の陶磁器」「奈良の麻」「福井の包丁」「鯖江の眼鏡」「輪島の漆器」「岐阜の紙」「山梨のニット」「大宮の盆栽」等、約50回にわたりプロモーションが行って実績がすでにある会社なのだ。そういった実績をベースに、しっかりと現地の人間が欲しいと思う日本の物を知った上で販売している。

▲写真 maison waの店内 Challeng Local Cool Japan in パリ(経済産業省・近畿経済産業局)

「フランス人の普段の生活はとても質素。その消費スタイルを考慮せず、日本基準で考えていると、たとえ共感を得ても全く売れないことがある。」(株式会社エニス代表取締役社長 塩川嘉章氏)

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