混迷サウジ 皇太子の野望
Japan In-depth / 2017年11月22日 10時51分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#47 (2017年11月20-26日)
【まとめ】
・中国の特使が北朝鮮訪問するも、譲歩の可能性は低い。
・サウジの混乱は単なる権力闘争ではなく、国内の政治経済システムを改革し近代的王制下の生き残り策。
・露プーチン大統領は中東諸国首脳との会談を精力的にこなしているが米トランプ大統領は動いていない。
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今週は中国が北朝鮮に派遣した「特使」をめぐる報道が乱れ飛んでいる。中国共産党・習近平総書記の特使として訪朝したのは宋濤・党対外連絡部長。17日には崔竜海・朝鮮労働党副委員長と、18日には李洙墉・同党副委員長と会談したが、20日現在、金正恩委員長との面会は報じられていない。
写真)中華人民共和国の宋濤(そう・とう)中国共産党対外連絡部部長(平成29年8月8日)
出典)首相官邸
気の早い向きは、「金正恩委員長との面会次第では、早ければ今月末にも米朝の接触が行われる可能性も出てきている」といった飛ばし記事まで書いている。それにしても、金正恩との面会すら実現する見込みが少ないのに、一体何の根拠があって米朝接触の話が出てくるのか。もっと冷静に考えてほしいものだ。
トランプ氏訪中の際、米側はより強く北朝鮮に圧力をかけるよう中国に対し求めたに違いない。だが、そもそも北朝鮮が中国の圧力で譲歩する可能性は低い。そのことを中国は承知の上で「特使」を送った。ということは、今回中国は米国に対し、努力を行っている「アリバイ」を証明したいのだろう。
写真)トランプ大統領と習近平大統領 2017年11月10日
出典)ドナルド・J・トランプ大統領facebook
そう考える理由は何かって?第一に、この「特使」が党中央委員・中連部長という低ランクの人物だったこと。5年前平壌に派遣された「特使」は政治局員だった。政治局員は25名しかいないが、中央委員は204名もいる。金正恩が中国共産党の204分の一でしかない格下の「特使」と会う可能性は低いだろう。
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