混迷サウジ 皇太子の野望
Japan In-depth / 2017年11月22日 10時51分
第二は、「特使」派遣が鳴り物入りで大きく報じられたことだ。これでは静かな交渉など期待できない。北朝鮮だって、欲しいものが得られるなら、非公式に交渉することも吝かではない。しかし、今回中国はそこまで踏み込んだ話をする気などなかったのだろう。これでは上手く行く筈がない。
今週筆者が注目するのは、最近サウジアラビアで起きている一連の混乱だ。11人の王子を含む200人近い王族、官僚、実業家が汚職容疑で拘束されたというが、見当外れの報道も少なくない。「宮廷粛清が始まった」「皇太子への権力集中」「汚職口実に政敵排除」といった見出しではサウジの実態を理解できない。
詳しくは今週の産経新聞のコラムを読んで頂きたいが、筆者の見立てでは、今回の拘束は単なる権力集中のためではなく、腐敗撲滅のためでもなく、国家収入増を意図したものでもなく、勿論、単なる権力闘争ではない。そもそも今のサウジにそんなことをやっている余裕などないはずだ。
ムハンマド皇太子の目的は、権力集中による荒治療で、サウジを世界に開き、国内の政治経済システムを改革し、原油代金で潤ってきた補助金漬け王国が近代的王制の下で生き残ることだ。その点では権力を集中して党の生き残りを賭ける習近平総書記と手法が似ているかもしれない。
写真)ムハンマド・ビン・サルマーン サウジアラビア皇太子
出典)ウィキペディア
〇欧州・ロシア
今週はロシア大統領が忙しい。20日にはソチでチェコのゼマン大統領やシリアのアサド大統領と会談し、22日にはイラン大統領とトルコ大統領との三者会談が予定されている。こうやってプーチン大統領が中東問題につき着々と布石を打っている時に、米大統領は一体何をやっているのか。中東という大事な地域を娘婿に任せておいて良いのだろうか。とても心配だ。
写真)11月20日 チェコ ミロス・ゼマン大統領とプーチン大統領
出典)ロシア大統領HP
写真)11月20日シリアのバシャール・アサド大統領とプーチン大統領
出典)ロシア大統領HP
〇東アジア・大洋州
20-21日にミャンマーでASEM(アジア欧州)外相会議が開かれる。22日にASEAN諸国のタイ湾での合同海軍演習が終了する。26日には空母ロナルド・レーガンが沖縄沖で日本と韓国との合同訓練を終える。北朝鮮は9月以来静かにしているのは、技術的理由か、それとも米国の抑止が効いているのか。
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