ロヒンギャ難民の窮状 最新報告
Japan In-depth / 2017年12月15日 16時14分
Japan In-depth 編集部
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11月末、AARJapan(特定非営利活動法人難民を助ける会)の「緊急報告会~ミャンマー避難民支援の現場から~」が都内で開かれ、現地調査を終えた、古川千晶氏(緊急支援チームリーダー)と中坪暁央氏が報告した。
写真)報告を行う古川氏と、家財道具をほとんど持たず、着の身着のまま逃げてきた、避難民の写真
©Japan Indepth編集部
AAR Japan(難民を助ける会)は1979年、インドシナ難民を支援するために、 政治・思想・宗教に偏らない市民団体として設立され、 国連に公認・登録された国際NGOだ。今まで世界60以上の国と地域で支援活動を行っている。
まず、同団体が緊急ミャンマー避難民支援を行うことになった背景を確認しよう。
ミャンマー北部で今年8月末に発生した武装勢力とミャンマー軍との衝突により、わずか3ヵ月間に93万人もの「ロヒンギャ族」の難民がミャンマーから隣国バングラデシュに避難する事態となっている。
ラカイン(Rakhine)州に暮らすミャンマーの少数派イスラム教徒民族「ロヒンギャ」。ロヒンギャはミャンマーでは「ベンガル人」と呼ばれ、国籍も与えられておらず、民族としても認められていない。1982年に施行されたミャンマーの国籍法は、国籍が取得できる対象者を「19世紀初頭からミャンマーに居住する135の民族」に限定している。このため135の民族から除外されたロヒンギャの大半が無国籍の状態となり、参政権や国内移動の自由が認められていない。ビルマ政府によるロヒンギャに対する劣悪な処遇と、数十年に及ぶ人権侵害が、大量難民を生んだのだ。
現場で3週間の現地調査を終えた古川氏が、現状を語った。
氏によると現在バングラデシュでは、避難民が滞在できるキャンプを大幅に拡大してはいるが、健康な人で3日、高齢者や乳児を抱えた人は7日、足が不自由で松葉杖をついていた人は20日もかけないと避難キャンプにたどり着けないという。
到着後、支援を受けるための登録をする必要があるのだが、登録が完了するまでには長いと2週間もかかる。その間は配給も受け取ることはできない。現場ではバングラデシュ政府の統率がとれているが、世界中のNGO団体は勝手な支援を許されていない。配給や医療支援などもすべてバングラデシュ政府の許可が必要で、それに従って支援活動がおこなわれているため、支援までのスピード感が遅くなるのが課題。
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