核の脅威が深刻化する【2018:国際情勢】
Japan In-depth / 2017年12月28日 16時6分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#52(2017年12月25-31日)
【まとめ】
・2017年、世界で民族主義や大衆迎合主義が合体した「ダークサイド」が蔓延。露、中、イランらの「諸帝国」が台頭。北朝鮮の「核の脅威」顕在化。
・2018年、米朝は大規模戦争には突入しない。トランプ氏は大統領のままであろう。
・中東和平プロセスは当分瀕死状態で進展は見込めない。
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遂に2017年も最後の週となった。一年間ご愛読頂き、心から感謝申し上げる。尊敬する編集長からは、今回は「国際情勢の今後を考える指針」を示す「2018年を占う」特集にせよと厳命されている。だが、そもそもこの時期、各メディアで「来年を占う」企画が掲載されるが、予測が当たった試しはない。
でも、ここで何か書かないと今年は終わらない。仕方がないので、今回は的中率が高かったと昨年一部で注目されたBusiness InsiderのMilitary & Defense Teamが行う予測をご紹介しながら、適宜茶々を入れることにした。後半に彼らの本文の要約を紹介し、筆者のコメントもカッコ内に記してある。
さて、その前に、まずは2017年全体を回顧しよう。今年一年間、筆者がスターウォーズ映画の題名を捩りつつ繰り返し述べてきたのは、次の3点だ。
①今世界で覚醒しているのは正義の「フォース」ではなく、醜く不健全で破壊願望を伴う民族主義や大衆迎合主義が合体した「ダークサイド」である。
②逆襲しているのは単一の「帝国」ではなく、現状を不正義と考え、その変更を場合によっては、力を使ってでも実現しようとするロシア、中国、イランなどの「諸帝国」である。最近では、こうした動きにトルコという旧帝国も加わろうとしている兆候がある。
③今最大の脅威(メナス)は「ファントム・メナス」ではなく、北朝鮮などの「ヌークリア・メナス(核の脅威)」である。こうした傾向は2018年に深刻化することはあっても、改善することはないだろう。2016年のイギリスEU離脱、2017年のトランプ氏大統領就任などは、これを象徴する事件であった。
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