トランプ宣言にパレスチナ無反応のわけ
Japan In-depth / 2017年12月30日 0時40分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・トランプ大統領のエルサレム首都宣言、パレスチナの抗議活動は盛り上がらず。
・背景はパレスチナ人による「パレスチナ自治政府に対する不信感」や「イスラエル経済への依存の高まり」。
・トランプ政権はこうしたパレスチナの状況を見越した上での首都宣言だったと思われる。
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アメリカのトランプ大統領のエルサレム首都宣言は国際的に広範な反発を引き起こした。だが意外なことに最も強く反発するはずのパレスチナがさほど激しい抗議運動を起こしてはいないことが現地からの報道で明らかとなった。
「トランプ大統領のイスラエル支持宣言→国際社会の反発→パレスチナの蜂起→中東和平の崩壊」という日本での一般向けの方程式がどうも現実には当てはまらないようなのだ。
トランプ大統領は12月6日、「イスラエルの首都はエルサレムであり、アメリカ大使館はそこに移す」と宣言した。
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/938517073508163584
△ドナルド・トランプ氏 12月6日のTwitter
写真)エルサレム
出典)Photo by Berthold Werner
これまでの歴代のアメリカ大統領が間接的には認めながらも、直接の宣言は延期してきた認知だった。その結果、イスラエルと対立するパレスチナ勢力も、他のイスラム系諸国も一斉に反発した。国連でもアメリカのこの宣言を無効とする決議案が圧倒的多数で採決された。
写真)トランプ米大統領によるエルサレムのイスラエル首都認定撤回を求める決議案を賛成多数で採択した国連総会緊急特別会合。 12月21日
出典)UN News Centre UN Photo/Manuel Elias
この展開を伝える日本の主要メディアのほとんどの報道をみると、アメリカのこの宣言への反発は果てしなく広がるようである。イスラム系勢力のなかでもとくにパレスチナがイスラエルやアメリカに決死の戦いを挑んでいくようにも思えてくる。
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