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酷い歪曲とすりかえ 朝日コラム

Japan In-depth / 2018年1月8日 17時55分

▲写真 テロ攻撃を受ける世界貿易センタービル 2001年9月11日 出典:The Library of Congres

≪「ニューヨークの世界貿易センタービルなどを標的にしたテロは、ほんとうは米国自身が仕組んだんだ。今やほかの国ではだれもが常識として知っている。知らないのは日本人だけだ」≫

この言葉は大野記者が直接に耳にしたわけではない。ライター・編集者の望月優太さんという人が最近、都内で目のあたりにした場面だという。だがその内容はアメリカでも日本でも、世界の他の諸国でも、もうさんざんにうわさされ、すでにデマとして葬られた陰謀説である。「最近、実際に」聞いたというにはあまりに古く、あまりに手あかのついた根拠のないデタラメ言辞なのだ。

▲写真 米同時多発テロの再調査を求めるデモ 2007年ロサンゼルス flicker:NoHoDamon

しかも、この都内の居酒屋での場面というのも、そもそも実際にどこの誰が、いつどこで、口にしたのか、まったくわからない。だが大野記者はそんな雲の中の「言葉」をこの長いコラム記事の最大の論拠として使っているのだ。

しかしこのコラムのゆがみの核心、その最もひどい部分は、その陰謀説の「言葉」からひねり出す教訓や意味である。そのひねり出しの過程が支離滅裂、一人よがりなのだ。そのユニークな9・11テロ米国政府陰謀説の日本にとっての意味づけは以下のようだった。

≪グローバル化や少子高齢化で、自分たちの暮らす社会がうまく把握できなくなっている。その不可解さ、複雑さにうんざりして、わかりやすいストーリーを求めたくなる。悪者をさがしたくなる。そこに陰謀論や排外思想、フェイクニュースがつけ込む≫

以上の大野記者が述べる日本での傾向は冒頭の居酒屋での「9・11テロは米国自身が仕組んだ」というデマと同じ現象だというのである。つまり9・11テロ陰謀説は日本社会の現状の結果であり、症候でもあるというのだ。

ここで9・11テロの実態について明確にしておこう。2001年9月11日に起きたこの事件はアメリカ捜査当局により、「サウジアラビア人のオサマ・ビンラディンを最高指導者とするイスラム原理派テロ組織アルカーイダのメンバー19人によって計画・実行された大量無差別テロ」と断定された。アルカーイダ側もその犯行を自認した。この断定には豊富な証拠が提示された。

▲写真 アル・カーイダの兵士達 Photo by Noofa2401

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